人工甘味料の場合

人工甘味料は、もともと自然界にはない甘味成分を化学的に合成して作ったもので、糖質ゼロやカロリーオフにするための代替甘味料として使われています。

現在日本で使用が認められているのは、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK(カリウム)、スクラロース、ネオテーム、アドバンテームの6種類です。

「小麦製品・牛乳・人工甘味料」化学物質過敏症の人が控えるべき3つの食べ物。整えるべきは「腸」の驚くべき理由_4
すべての画像を見る

人工甘味料は、低カロリー、血糖値が上がりにくいといったメリットもあります。その反面、発がん性のみならず腸内細菌叢の働きを妨げ、食後の血糖値を下げにくくし、糖尿病、心血管疾患、慢性腎臓病などのリスクを高めるといったデメリットにつながる可能性があるという研究結果が、学術誌『Cell』に発表されました(2022年8月19日付)。

人工甘味料という人間にとっては非栄養性の甘味料も、栄養となって一部の腸内細菌を増殖させ、腸内のバランスを崩してしまうことで慢性的な腸の炎症などにつながるというものです*3。

腸内細菌叢を乱す人工甘味料が使われた食品や飲料は、可能な限り控えたほうがよいでしょう。


*1 公益財団法人腸内細菌学会公式サイト
(https://bifidus-fund.jp/keyword/kw033.shtml)
*2 American Academy of Allergy, Asthma & Immunology. The Myth of IgG Food Panel Testing, 2024. https://www.aaaai.org/tools-for-the-public/conditions-library/allergies/igg-food-test
*3 「人工甘味料が腸内細菌を乱すと判明、健康に悪影響の恐れも、研究」『NATIONAL GEOGRAPHIC』日本版サイト2022年9月14日ニュース記事(https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/091300423/)

写真/Shutterstock

化学物質過敏症とは何か
渡井 健太郎
化学物質過敏症とは何か
2024年6月17日発売
990円(税込)
新書判/176ページ
ISBN: 978-4-08-721321-8

潜在患者は1000万人以上。
それは、「●●●」な疾患!
(答えは本書に)

アレルギーだと誤診、喘息だと過剰治療、気にしすぎだと放置……。
社会に誤解され、医療から無視されがちな“ナゾの病”がよく分かる!

近年、全世界的に患者数が急増している「化学物質過敏症」。
現在の患者数は約120万人で、潜在患者は1000万人以上とも言われています。
誰にでも発症の可能性があり、一度罹患すると日常生活や社会活動に著しく支障をきたすにもかかわらず、症状が多岐にわたるためアレルギーと誤診されたり、気にしすぎだと放置されたりしがちなのが実情です。

本書では、この疾患の臨床および研究に第一線で携わる医師が、医学的エビデンスに基づいた最新の知見や治療法を解説。
この“よく分からない疾患”の正しい理解、正しい受診、正しい解決へとつなげます!

【目次】
はじめに
第1章 誤診・過剰治療の現実
第2章 化学物質過敏症ってどんな疾患?
第3章 合併しやすいアレルギー以外の疾患
第4章 診断と対策
第5章 診療現場の現状と問題点
第6章 最新の研究事情とこれから
おわりに

amazon 楽天ブックス セブンネット 紀伊國屋書店 ヨドバシ・ドット・コム Honya Club HMV&BOOKS e-hon