東京維新の会の一部と合流して“新党”設立の話も…
石丸候補の街頭活動から見えてきたのは、熱狂を与える街頭活動と、それを短時間で繰り返し行うことで、聴衆を熱狂に巻き込んでいく手法だ。
そして聴衆、街頭日程を確認してやってくるのだからもう聴衆というより熱狂的な支持者と言っていいだろうが、彼らはその熱狂を求め、さらに繰り返し求めるようになる。そしてその組合わせが石丸候補を2位に押し上げた大きな原動力になったのではないかということである。
別の言い方をすれば、「政策を理解し、咀嚼できなくてもいい。ただ熱狂し、何か起きるかもしれない、変わるかもしれないと期待させる」という石丸候補の戦略と、ファンのたちの「期待させてくれることを喜ぶ態度」の組合わせということであろうか。
それで都政を担えるわけがないと筆者などは思ってしまうわけであるが、聞くところによると、石丸候補、なんと新党を準備しているらしい。それも、日本維新の会の東京の支部都連に当たる東京維新の会の一部と合流して設立するとの話も聞こえてくる。
そもそも石丸候補側から日本維新の会に応援の打診があったものの、推薦なしの応援だけというのは困難であるとして御破算となり、党本部としては都知事選は静観としていた。
一方、東京維新の会の柳ヶ瀬裕文代表及び音喜多駿幹事長が独自に石丸候補に推薦の打診をしたところ断られて激怒、党としての決定以上に東京維新の会としての引き締めを強化したにもかかわらず、応援したい東京維新の会の一部が勝手連で応援したのが始まりのようである。
一方で、予想外の2位につけたことで大手メディアの注目を一気に集めるに至ったが、投開票日当日から、中継インタビューにまともに答えないどころか、上から目線ではぐらかしたりイラついたりと、そのある種の「本性」が全国に知れ渡るや、筆者の見る限り「石丸バッシング」の流れができはじたようにも思える。
このことを踏まえて、「石丸候補は蓮舫候補の票を削るために立てられた候補で、目的が達成されればあとは用済みなのだ」とする見解もSNSでは散見される。初めは「石丸信者」であったが、選挙戦の途中で気づいて「信者」を辞めたとする元支持者も、SNS上ではチラホラ見かける。
前者などは推測の域を出ないし、実際のところは不明であるが、少なくともこれまでの石丸旋風が続くことはないのではないか。石丸氏本人は何か公職に就いているわけでもないので、かつての小池劇場のようなことを仕掛けることもできない。石丸氏の不遜な態度のショート動画もすでにネットで拡散され、安芸高田市長時代の実態も別の形で明らかにされつつある。
ただ、熱狂というある種の麻薬のようなものを上手に使うことで今回のような現象が起こせるということは、一つの教訓として肝に銘じておくべきではないだろうか。
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取材・文 室伏謙一
集英社オンラインニュース班