社名と定款変更で悪しき流れからの脱却を印象づけるも…
洋菓子のヒロタは2001年に民事再生を申請している。製造拠点の拡大を進めた一方で販売不振に陥り、53億円もの負債を抱えて経営が立ち行かなくなったのだ。
当時、再生スポンサーとなってその危機を救ったのがトゥエニーワンレイディ・ドット・コムだ。後に21LADYに社名変更し、2004年10月に株式を上場している。
この会社は英国式パブ「HUB」のグループ化、北欧雑貨やインテリアなどを販売する「イルムス」、和菓子の「あわ家惣兵衛」の買収など、多角化を進めた。
しかし、2018年6月に開いた株主総会で、オーナー社長の広野道子氏が解任されてしまう。5期以上連続で純損失を計上。営業キャッシュフローもマイナスになって、経営不振の責任を追及されたのだ。
新経営陣のもとで再出発を果たすが、コロナ禍の到来でしばらくは赤字から抜け出すことができなかった。ところが2023年3月期にようやく1600万円の純利益を出したのである。
創業99年目の2023年は勢いに乗っているように見えた。
10月1日に21LADYからヒロタグループホールディングスへと社名変更。同じタイミングで定款を変更している。変更前は、事業の目的の最初に「投資事業組合財産の管理および運営」、次が「経営コンサルタント業」となっていた。
それを「乳菓、乳製品の製造、販売」「冷凍食料品、冷凍調理食品の製造、販売」へと改めたのだ。
まさに心機一転。創業99年目というタイミングで民事再生からの流れを断ち切り、100周年を新たな体制で迎えようという意図が伝わってくる。
しかし、結果は残酷だった。
ヒロタは2024年3月期の期首に、売上高を前期比8.4%増の24億6000万円、純利益を同77.7%増の3000万円と予想していた。しかし、実際の着地は売上が計画を1億円下回り、5億円を超える巨額損失を出すこととなったのである。