店ごとに麵職人が在中!

確かに丸亀製麵は、超大手チェーン店でありながら、すべての店に麺職人が在中(職人が不在の日、時間帯もある)するなど、人材育成にお金をかけている。

技術力向上と教育システムの一環として2016年より、この麵職人制度を取り入れた。評価基準は厳しく、2024年3月時点で麺職人は全国に1632人いるが、その中で「二つ星」を持つ職人は6人。それ以上の「三つ星」「四つ星」はまだ一人もいない。

丸亀製麵以外の店でさらなる発展を遂げているトリドールだが、麺職人制度に代表されるように、丸亀製麺にももちろん力を入れている。その一つが、“ライブ感”だ。

丸亀製麺ではもともとオープンキッチンを採用し、職人が目の前で調理することをウリにしていたが、さらなるライブ感を目指し、“没入型”の店舗を増やしている。

その店舗では、店内の見えるところに小麦粉の袋がむき出しで積み上げられ、うどん生地を熟成させている熟成室もガラス張りで見物できる。

ライブ感あふれる厨房
ライブ感あふれる厨房
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さらに客と厨房との間のボードも取り払い、究極の臨場感を与えている。捨ててしまう麺の切れ端を客に渡し、できたての麺のモチモチ感を味わってもらう工夫もするなど、まるで工場見学のようだ。

こうしたリニューアルをすることで、店舗によっては売上が20%もアップしたという。

番組でも説明されていた通り、店舗数・売上ともに業界ぶっちぎりのナンバーワンを誇る丸亀製麺。数あるほかのうどんチェーン店との違いはなんなのだろうか。

「丸亀製麵は店舗ごとに粉から麺を作るなど、うどんへのこだわりは業界でも特に強かったのですが、それを認識している消費者は少なかった。そんなとき、マーケティング会社の『刀』と契約し、そうしたこだわりを消費者に認知させて、V字回復していったのです。

つまり、丸亀製麺がもともと持っていたポテンシャルをマーケティングの力で消費者に伝えることができ、これほどの成長をすることができたのではないでしょうか」

テレビ放送の後日、丸亀製麵を通りがかると店の前までの大行列ができていた。今回、こだわりがテレビを通して伝わったことで、ますます客入りが多くなっていきそうだ。

取材・文・撮影/集英社オンライン編集部