無限にお金を払うことができるシステム

「確かに声優を目指すうえでお金はかなりかかります。彩さんが通っていた養成所は週に3回も講習があるとのことで、その中でもトップクラスにお金がかかるところでした。他はだいたい、週に1回の講習で、1年に20~30万円ほどが相場です。

また、番組でも説明されていましたが、声優を目指している人ならば、養成所以外にワークショップやボイストレーニングに通うことは当たり前。

私も月に1万円ほど払ってボイトレに通っています。なので声優を目指していたころは、年間で40万円ほどかかっていましたね」(Mさん、以下同)

インタビューに答えるMさん
インタビューに答えるMさん

養成所は1~2年通うことが一般的で、卒業のころに事務所に入るためのオーディションがある。そこで受かれば、養成所を経営している事務所の所属になるが、落ちてしまえば、残念ながらそこで終わり、養成所から退所となる。

「ただ、養成所は何十社もあることから、声優志望の多くは、オーディションに落ちたら別の養成所に入り直して、そこでまた受講料を払って1~2年通い、年に一度の事務所オーディションに挑みます。

つまり、同じ養成所には何年も居続けられないものの、無限に養成所に通い続けることはできるのです。このシステムが、声優という夢をすっぱりと諦めづらくさせ、さらにお金を大量に消費する結果を生み出していると思います」

Mさんが通っていた養成所では、学生よりも社会人が多く、社会人として数年働いてお金を貯めてから養成所に通っていた人がほとんど。

ただ、年齢は20代前半から中盤が多く、当時27歳のMさんはクラスの中で最年長だったという。

「オーディションに合格して事務所の所属になれる人はごくわずか。私の周りでは誰も合格した人はいません。ハッキリ言って宝くじを買うような感覚と変わらないでしょう。

また、事務所によってはオーディションで合格してからも、事務所でのレッスン料と称して、週に1回ほどの講義料として、年間20万円ほどタレントにお金を払わせているところもあります」