ガチャ課金の罠に陥っているのは会社も同じ

日本のモバイルゲームを嘲笑うかのようなタイトルが市場を席捲している。中国のmiHoYoが開発した「原神」だ。2022年度の売上高は5300億円。「原神」のユーザー数は全世界で6500万人を超えている。

撮影/集英社オンライン編集部
撮影/集英社オンライン編集部

プレイヤーの自由度が高いゲームで、ミッションに追われるわけではない。ガチャゲーのような焦燥感に駆られることがないのだ。

日本のガチャゲーは競争をベースとしており、初心者は強力な課金勢から排除される傾向がある。ユーザーが固着化し、新たなユーザーが定着しないために売上成長しないのだ。

その一方で、「原神」はプレイヤー間の競争性をなくし、ライト層を重視した作りになっている。このゲームは難易度が低く、豪華声優陣を起用したキャラクター重視型でもある。皮肉にも、ガチャゲーから課金性の高いガチャ要素を取り除くことで世界的にヒットしたのだ。

現在の日本のゲーム業界において根深い問題なのが、ガチャゲーを開発してきた会社が他のゲームを作れなくなってしまったことだ。

モバイルゲームは多額の開発費が必要になっており、ヒットからの減衰スピードも速まっている。当然、プロデューサーは企画段階で多額の課金ポイントを作らねばならず、手っ取り早いガチャ要素を入れようとするだろう。

広告やサブスクリプションなど新しい課金ポイントを企画書に盛り込んだとして、成功事例が少ないそのアイデアで意思決定者が数千万円から数億円の予算をつけるとは考えづらい。

モバイルゲームは国内のゲーム会社の成長をけん引したが、ガラパゴス化の罠にはまっているように見える。

取材・文/不破聡