男性客の次はファミリー層の獲得へ

そして男性客の集客も強化した。現在は終了してしまったが、2021年に公式アプリでごはんのおかわり無料クーポンを発行。宇都宮の店舗ではおかわり自由の仕組みも一時取り入れていた。

ごはんが進む新メニュー「甘からだれの鶏唐揚げ」など、男性向けの料理も強化している。2022年のテレビCMにお笑い芸人の錦鯉を起用し、中年男性二人が美味しそうに食べる印象的な映像を放送していた。2019年のCMは女性会社員風の出演者が「ランチに行ってくるね」という言葉で始まるものだった。

大戸屋の既存店客数が増加していることを考えると、男性客の来店が増えている可能性は十分にある。新中期経営計画においては、2027年3月期の売上目標を315億円とした。次は出店攻勢をかけるのだろう。

直営店では駅前商業立地や主要駅周辺とロードサイド、フランチャイズは駅前繁華街、そして直営・フランチャイズともにフードコートの出店を強化する。

本丸はロードサイドとフードコートだろう。大戸屋は女性会社員をメインターゲットとしていたため、繁華街立地が中心だった。これからは、ファミリー層が多いロードサイドやショッピングモールを重点的な出店対象としたのだ。ターゲットの幅を更に広げようとしている。

撮影/集英社オンライン編集部
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2024年4月の大戸屋のテレビCMは、オリジナルソングを添えて「おなかがすいたら、大戸屋に帰ろう」というキャッチフレーズだ。家族をテーマとしているのは明らかだ。ファミリー層の取り込みに成功し、ロードサイドとフードコートを繁盛店にできれば、もう一段成長できるのは間違いない。

その更に先に海外展開があるはずだ。大戸屋は敵対的買収という憂き目を見たが、それを通して経営改善を成し遂げている。

取材・文/不破聡