「親の気質や家庭環境のことを記す必要性はある」
都内の公立小学校教師のBさん(39)は「“引き継ぎ資料”は基本的に事実に基づいた内容しか記載しません」と語った。
流出した資料には「父親うるさい」などとも書かれており「ただの文句では?」と問うと、Bさんは「親の気質や家庭環境のことを記す必要性はある」と説明した。
「家庭環境を書く必要がある理由は、その影響で提出物が出せなかったり、持ち物の準備ができなかったりする子どももいるからです。例えば、シングルマザーの家庭の子には不用意に父親の話をしないように配慮もします。
また、家庭によってニーズがさまざまで『ちょっとしたことでも必ず連絡してください』という家庭もあれば、逆に『そんなことで連絡してこないで』という家庭もあるからです」
かつて問題児童が多い中学校で教員の経験があるCさん(39)は親に関してのこんな書き込みを目にしたという。
「『母親がシングル。1月、2月と母は家を空けることが多く祖母宅から通学していた』といった記述や『家に母親の交際相手らしき人物が長く同居。その後、母親はその方との間の子供を出産』との書き込みも見ました。
教師としては子どもの通学ルートを把握するのは大事なので、自宅ではないところから通学しているのであれば、それは必要な情報です。また、母親の交際相手がどんな人物であるかや、子どもが生まれた後の精神的ケアが必要な場合もあるのですべて重要事項といえます」
Cさんはこうも続ける。
「今回、流出した資料は一般の方が見たら中傷にしか見えないかもしれませんが、教師の立場としては、よく見る内容だなという印象です。例えば流出資料内に『鼻をほじって不潔』などの記述もありましたが、これも潔癖な生徒と席順を隣同士にしないなどの配慮のためにも必要です」
「LGBTQ傾向」と記載するのはトイレや宿泊学習での対応のため?
前出のBさんも同じ意見だった。
「流出資料内に『LGBTQ』との記載があったことについて、Xでは『LGBTQって書いてあるけど診断されてるの?』『決めつけだろ』という意見もありましたが、診断がなかったとしても、教師の視点の注意事項としては引き継ぐべき内容です。LGBTQ傾向の子供はトイレや宿泊学習時の配慮も必要ですから」
また、流出した資料には子どもの発達面に関する記述があった。これについてネット上では「生徒への中傷だ」などの声が多くあがっていた。都内中学教師Dさん(43)の学校では「ADHD」などの特徴は明記せず「もっている」などと書くことが多いという。
「私がかつて受け持っていた女子生徒は医者からADHD診断をされていたので『もっている。勉強が苦手。授業中に空気を読まず発言してしまう』などと記載しました。また、親もちょっと対応に注意が必要な方だったので『親要注意。長文メールが来る』と具体例を書いたことがあります」