岸田首相の独断専行で力を削がれた茂木氏が批判を展開

「岸田じゃ選挙は戦えない」
「岸田には解散させない」

周囲にそう吹聴して岸田批判を繰り返していたのは、自民党ナンバー2である茂木幹事長だった。

本来ならば二人三脚で協力しなければいけない2人の関係悪化を決定づけたのは、裏金問題を受けて岸田首相が独断専行で実施した岸田派(宏池会)の解散だ。

茂木氏は茂木派(平成研究会)を率いており、その支援のもとで将来は総理総裁を目指すことを目論んでいたのだが、自民党全体に派閥解散の動きが広がり、茂木派も政治団体を解消し、グループに移行。

その過程においては、それまで派内で対立してきた小渕優子選対委員長などが退会し、茂木氏の力は削がれる形になった。

“岸田批判”を展開する茂木敏充幹事長(本人Facebookより)
“岸田批判”を展開する茂木敏充幹事長(本人Facebookより)
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こうしたなか、岸田政権の低支持率や4月の衆院3補選惨敗を背景に、茂木氏は「岸田で解散したら自公で過半数を割る」などと批判を展開。

さらに5月の静岡県知事選では、自民党静岡県連が推してきた候補者の劣勢が事前の情勢調査で明らかになっているにもかかわらず党本部推薦を進め、最終的に敗北して岸田首相は連敗を重ねる結果となった。

「裏金問題で自民党に大逆風が吹き、与党系候補が劣勢なのに茂木氏が思い切って推薦を決めたのは、勝てる見込みがあったというよりも、”岸田首相のもとでなら負けてもいい、むしろ、負けたほうが岸田首相を追い詰めることができる”と考えていたのではないか」(永田町関係者)

実際に、岸田首相は連敗を重ねたことにより衆議院の解散を見送り、低支持率のまま総裁選に突っ込んでいくことを余儀なくされている。