中国のデフレはどうなる?

2023年末現在、習政権は金融緩和政策をもって不動産バブルの崩壊を食い止めようとしているように見える。しかし、年末に開かれた共産党中央経済工作会議で習主席が行った演説をみるかぎり、具体策は打ち出されていない。

現状において不動産デベロッパーを救済する融資を実施しても、問題の解決を先送りするだけである。重要なのは構造改革だ。

日本の場合は、バブル崩壊の後処理を行うのに30年かかった。はたして中国は何年かかるのだろうか。現段階では断定することはできないが、日本経済を取り巻く外部環境と中国経済を取り巻く外部環境を比較すると、両者の立場は大きく異なると言える。

日本のデフレは30年間続いたが、輸出製造業は順調に日本経済を支えていた。それに対して、中国には米中対立とサプライチェーンの再編という壁が立ちはだかる。習政権は目の前の状況の深刻さを十分に理解しておらず、国内循環、すなわち、自力更生で経済成長を実現しようとしているようだ。

歯止めの効かない中国の「不動産倒産連鎖」についに政府が「救う会社、救わない会社リスト」を作成…これから中国経済が直面する“失われた30年”_6
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しかし、中国の経済構造は輸出依存であり、内需だけで成長を持続させるのはそもそも無理なことである。

最近、中国国家統計局報道官の記者会見を聞いていると、都合の悪い経済統計を言葉で粉飾しようとする傾向が強くなっている。具体的な経済統計をいわずに、経済が改善に向かっているというように言葉を濁す場面が多い。

実際のところ、不動産バブルは崩壊して、経済が回復する力は弱くなっているはずだ。国家統計局が正しい統計を発表しなければ、ポリシーメーカーは正しい政策を考案する根拠をもてない。このままいくと、中国は失われた20年ないし30年を喫する可能性が高くなる。


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中国不動産バブル
柯隆
中国不動産バブル
2024/4/19
1,100円(税込)
256ページ
ISBN: 978-4166614523

中国の不動産バブル崩壊が幕を開けた。
それは貨幣的な現象に留まらず、金融、行政、政治システムへと飛び火し、やがては共産党統治体制をひっくり返す要因にもなり得る――。バブル形成から崩壊まで、複雑怪奇な構造をどこよりも分かりやすく読み解く。

【不動産から見える中国社会の歪み】

●主要大都市の不動産価格が大きく下落
●開発途上の不動産プロジェクトが次々とゴーストタウンに
●中国政府が不動産開発を熱心に進めた理由
●共産党幹部とデベロッパーが熱中したマネーゲーム
●別荘にプライベートジェット……賄賂を使って贅沢三昧
●地方政府が財政危機に陥れば、年金難民が発生する
●海外へと脱出する日本人が急増
●賃貸市場を敬遠し、マイホームを重視
●「見栄を張る」ことをやめられない
●統制か自由化か、岐路に立つ習近平政権

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