アメリカでは銃を乱射した少年の親が初めて実刑に
ーー教育虐待をテーマに取り上げたことで、反響はありましたか?
『それでも』を読んでくれた飲み屋の大ママが、こちらも読んでくれて、「近所にもそういう子がいたのよ」って教えてくれました。ああ、想像以上にいっぱいいるんだなって思いましたね。大なり小なり含めれば教育虐待の犠牲者は、100人に1人といわれる統合失調症の患者数よりよりもすごく多いと思います。
――押川さんが先日Xでポストをされていましたが、2021年にアメリカのミシガン州で銃を乱射した少年(当時15歳)の両親に、10~15年の禁錮刑が下されました。子どもの銃撃事件による親の実刑判決は米国でも初めてだそうですが、今後は日本でもそういった動きが起こり得ると思いますか?
これからの時代、気合いや根性、体育会系の縦社会といった、心意気や人間関係がないと助からない世界に入っていくのではないかと思っています。アメリカのその事件では、親が学校から、子どもに治療を受けさせるよう勧められていたのに受けさせなかったうえに、銃を買い与えていた。
要するに適切な対応をとってないことに対して、親に責任があると、司法が判決を出したんですね。これってまさに気合い、根性の話なんですよ。それまでは「社会がどうこう」と言ってきた部分もあったけど、親は親の部分としてちゃんと責任を取りなさいと言ったわけです。そこはアメリカのすごさを感じました。
昨年、日本でも長野県で猟銃を持って立てこもった男が4人を殺害した事件がありましたが、犯人は「住民が自分の悪口を言っていた」とか言ってるわけです。以前からその傾向があったという報道もありましたし、私なら被害妄想の症状を疑いますよ。そんな子どもに、親が猟銃の許可申請を容認し、買い与えている。
この犯人はすでに成人しているので、アメリカの未成年の事例とは異なりますが、それでも社会通念上、親の責任は問われて然るべきではないでしょうか。バンバン銃砲が鳴っているときに、「うちの子じゃないだろうな?」と思っていたと言いますからね。今や精神疾患が疑われる近隣トラブルはあちこちで起こっていて、このことは日本でも問題視しなきゃいけなくなってくるんじゃないかと思います。