地元民「感じ悪いですよ」

河口湖町に住む40代主婦は「他のアイデアがなかったのかとは思いますが、(黒幕が設置された目の前の)歯医者さんも入り口を変えたりしていろいろ対策をやってくださっていたみたいなので、仕方ないのかなとは思います。この地域は車社会で、一人一台車をもって、どこに行くにも車に乗るのですが、この道路は地元のみなさんも避けて、回り道をするようになるくらい、問題になっていましたからね。

設置されて1日しかまだ経っていませんが、黒幕の効果は実感しています。今日は少し曇っていて富士山の裾野まで見えないこともあるからだと思いますが、いつもはこの歩道を通れないほど人が大勢いるのに、今日は全然いませんからね。こんなことは観光客で混みだしてからはなかったと思います」

取材に答える地元住民の40代主婦
取材に答える地元住民の40代主婦

一方で、同じく河口湖町に住む70代の女性は、意外にも反対の意見を口にした。

「これはヒドいですよ。まずこれを設置することについて、我々はお話を聞いていませんでしたから。急に行政が決めてしまって…。せめて近隣の方々の意見を聞くべきだったと思います。あの黒幕はなんだか感じ悪いですよ。だって、いまや“世界の富士山”じゃないですか。富士山を見るためにわざわざ河口湖まで来たのに、それを隠すようなやり方だなんて。もちろん、今回のやり方なら、コンビニの駐車場からまだかろうじて撮影できますけどね。でも黒幕を設置する以外に、ローソンの上に看板を置いたりして、本当に全部隠そうっていう案もあがっていたらしいじゃないですか。それは本当にダメだと思います

あと、黒というのもどうかと思いましたね。空に溶け込む青とか白とか、もっと町の景観に溶け込むような色とかデザインにならなかったんですかね。この町にはいないかもしれませんが、東京にはそういうデザイナーの方もいらっしゃいますよね? 町長は苦渋の選択と言っていましたけど、早く解決したいだけなんじゃないかしら。やり方がちょっと強引すぎます」

確かにこの黒幕が設置されたからといって、撮影スポットになっているローソン越しの撮影ができなくなったわけではない。あくまで、危ない道路横断をする人を阻止するために設置しただけで、撮影禁止にしようという意図ではない。が、黒黒とそびえ立つ黒幕は、どこか近寄りがたい雰囲気を出し、観光客の排除を狙っているように見えてしまうのも事実だ。