はじめての本を書くのに大切なこと
――1作目以降、原案・原稿の持込が続いているということでしたが……。
キャビンアテンダント、女性騎手、風俗嬢、托鉢僧、海上保安庁などなど。バラエティーに富んでいますが、まだ実現には至っていませんね。
――著者になりたい人は、どんなことに気をつけるべきですか?
日記という体裁をとっていますが、例えば「今日、電話がありました」って言うだけではダメで、それをどうおもしろく、電話があったかを表現するかが重要なので、あったことを真正面から書いてはダメですね。純粋な日記ではないので、観察眼と自分なりの表現が必要です。
また、下品な話があったりしても、どこかで救いがあるような形にしたり、ちょっと意地悪な心があっても「それって人間、誰でもある感情だよね」のように、おさまりのいい形でまとめたりすることも大事ですね。
目的が謎の内容証明!
――職業日記シリーズは、業界の暗部を明らかにしている側面があると思うのですが、企業から訴えられたことは?
訴えられていません。でも、18冊刊行して大手企業2社から2件の内容証明が届いています。9分の1の確率です。ともに書籍の内容に抗議するものですが、具体的な要望がないんですよ。だから対応のしようがなく、放置せざる得ない状態です。
内容はすべて事実を描いていますし、後ろ暗いところもない。だから、むしろ訴えてほしいぐらいに考えています。それでまた本が話題にもなりますしね。
――そもそも、なんで「一人出版社」を始められたんですか?
2017年10月に、私が18年間勤めた出版社の三五館が倒産しました。それでその年の12月に1人で三五館シンシャを設立することになりました。
一人出版社の魅力は、上司も部下もいないってことです。怒られないし、怒ることもない。人間関係がないのは最高だと思っています。ストレスフリーです。