魚肉ソーセージ1本で1日当たり必要なDHA、EPAの半分は摂取できる
青魚に含まれるDHA・EPAが体にいいということはよく聞く話で、なんだ、またその話かと思った人も多いでしょうから、ここで私の研究チームでの調査のことをお話しましょう。
京都府立医科大学の研究グループを主体とした京丹後長寿コホート研究では、京都府京丹後市の65歳以上の住民を対象に健康診断を行いライフスタイルや食生活、そして腸内細菌の調査を行ったところ、高齢者の血管年齢が驚くほど若いことがわかりました。
京丹後市の高齢者は、イモ類や野菜など食物繊維が多い食材を積極的に摂り、たんぱく質は大豆、魚が中心でした。さらに、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)を京都市の住民と比較すると、京丹後市の住民では酪酸を産生する菌が多いことがわかりました。
これは腸の若さを示す指標の1つです。
よって、たんぱく質は牛、豚、羊などのレッドミートより、魚や大豆類から摂ることで腸内環境も若くなり、血管の弾力性を高めて長寿に結びつきます。
老化予防のためにも、たんぱく質は魚や大豆製品類から積極的に摂ってほしいですが、現代人の生活習慣の中でなかなか毎日魚を買って食べるというのは難しいと思います。
そこで、手軽に食べることができる「魚肉ソーセージ」を取り入れるのはいかがでしょうか?
厚生労働省ではn-系脂肪酸(EPA、α-リノレン酸、DPA、DHA)の食事摂取の基準として18歳以上の男性なら1日当たり1920~2230mg、女性なら1日当たり1590~1990mgを目安量に設定しています。
魚肉ソーセージには商品によりますが、例えばトクホの商品では1本当たりDHA、EPAが1050mg含まれているので、1日、1本食べることで手軽に心血管疾患のリスクを低減することができます。
魚肉ソーセージは色がちょっと……、加工品だし…とイメージが悪いかもしれませんが、保存料不使用の商品もありますし、畜産ソーセージと比べて低カロリー、低脂質です。
おやつがわりに1本食べたり、毎日の食事のメニューにアレンジしたりしてみましょう。
人生100年時代と言われています。いつまでも健康体でいるためには、毎日の食事や生活習慣を見直すことは大切です。
忙しくて食事が作れない、魚を食べたいけど買う時間がない人は、気軽に食べられるものでいいので、健康につながるDHA、EPAを摂るように心がけてください。
取材・文/百田なつき