「できれば机の上で死にたいですね(笑)」

――『サウナウォーズ』で漫画家として新境地を迎えられるなか、ひたむきにペンを握り続ける姿に感銘を受ける読者も多いです。いまだにモチベーションと熱意を持ち続けられる秘訣について教えてください。

とりあえずやめようと思ったことはないですね。漫画家として一花咲かせてやるという気持ちもありましたし、何より世間知らずだったから漫画に専念することができた。東京にはいろいろな遊びの誘惑がありますが、基本的に部屋の中で漫画を描くだけの生活になっていたので、やはりそうした辛くも楽しかった日々が僕をいまだに漫画家として成り立たせているのかもしれません。

ただ僕には漫画家仲間が何人もいるんですが、やめて地元に帰った人間も多いです。熱意だけではどうにもならない問題もあるので、自分としては漫画家を続けようと思える環境、読んでもらえる読者がいることが幸いでしたね。

〈漫画あり〉サウナ漫画を描くきっかけになった妻との死別…ポケモンのコミカライズ作者が67歳にして初のオリジナル漫画に挑戦した理由「なにかを始めるのに遅すぎることはないから」_3

 ――人間、精神的に成熟していくと失敗を恐れて新しいことに挑戦しようとしない傾向になっていくと思われますが、穴久保先生は最後まで漫画家としてあり続ける、と。

究極のことを言ってしまえば、机の上で死にたいですね(笑)。まあこれは大げさですが、自分は人生の楽しみを仕事に落とし込めているので、今でも続けられるんだと思います。

だから余力のあるうちに『サウナウォーズ』を描くことができて本当によかった。身体は着々と限界を迎えつつあるのですが、そのときが来る前になるべく自分のやりたいことをやったほうがいい。何かを始めるのに遅すぎることなんてないですからね。

だから、僕はこの『サウナウォーズ』をもっと描きたいので、みなさんコミックスを買ってください!