「昔はとにかく細かく小さく、今は大きく見やすく!」

――ストーリー漫画はもちろんですが、コミカライズは原作となる版元との打ち合わせなどもあり、違った意味で制作が一段と大変そうです。くにおくん、ポケットモンスターのときはどのような制作環境だったのでしょうか?

くにおくんに関しては、自由に描かせてもらったんですが、ポケモンはやっぱり年々キャラ数が増えていくので覚えるのが大変。ポケモンの描き方も正確に再現しなければなりません。

1996年のゲーム開発当時からコンテンツとしての規模も大きくなり、歳のせいか物忘れが増えてきたこともあって本当に大変です(笑)。

穴久保先生の代表作『おれは男だ!くにおくん』、『ポケットモンスター』(小学館)
穴久保先生の代表作『おれは男だ!くにおくん』、『ポケットモンスター』(小学館)

――穴久保先生はウェブでの連載作品が増えてきましたが、雑誌と比べて原稿の描き方などは変わってきたのでしょうか?

私はずっと制作環境がアナログなのですが、ウェブになってからはコマ割がかなり変化しました。

当時の雑誌はコマ数と描き込みを増やすようにするのが主流でした。大きいコマを作ると「贅沢だ!」と編集部からドヤされることがあって。同じくコロコロで『スーパーマリオくん』を描いている沢田ユキオ先生も、とにかく内容を詰めろとおっしゃっていました。時間をかけてじっくりと読んでもらえる時代でしたので、そういった方針だったでしょうね。

ただウェブとなるとスマホで読んでもらうことがメインになるので、とにかく見やすい原稿を作らなくてはいけません。だから必然的に1コマを拡張して、大きなコマ割を意識する必要があるんです。『サウナウォーズ』もウェブ連載だから、大ゴマを意識して描くようにしています。

個人的には内容を細かく詰めて描きたいんですが、今は娯楽があふれていますから、読んでもらえるように配慮するのは仕方ない気もします。このご時世、読者がいるだけでありがたいですからね。