デビューから1年以上後、『卒業』のヒットでカリスマ的存在に

レコードの見本盤ができあがってくると、音楽関係者の中ではかなり評判になった。『サウンドストリート』では、佐野元春と甲斐よしひろ、渋谷陽一がそれぞれ自分の番組で紹介したと記憶している。

しかし、意外なことにレコード発売後、僕の予想に反して尾崎豊はすぐにブレイクしたわけではなかった。スターにまつり上げられたのはそれから1年以上が過ぎて、1985年にシングル『卒業』がヒットしてからである。

そこからは一気に世間の注目が集まり、たちまちカリスマ的な存在になった。抑えられていたエネルギーが爆発したように、若きロックスターが誕生したのだ。

『尾崎 豊 - 卒業 (Official Music Video)』Sony Music (Japan)より

だが、果たしてそれがよかったのかどうか、僕には今もってよく分からない。

あまりにも真っ正直な歌詞、絞り出されてくるような疼き、痛み、傷つき壊れやすい心が心配だった。人気商売という面が強く、ビジネス面が優先する日本の音楽業界の体質を考えると、少年のようにピュアなままやっていけるのかどうか不安を覚えた。

それから4年の月日が流れた1987年12月22日。尾崎豊は覚せい剤取締法違反で逮捕された。 懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を受けて、東京拘置所から釈放されたのは翌年の2月22日だった。