「証明書はそもそも大使館を通じて証明するものではない」

――上田都議は2020年6月、小池知事の卒業証書と卒業証明書を提出させる議決案を提出しましたね。

(カイロ大学長が出した声明文のせいで)自民党と共産党が日和ってしまいましたけどね。小池知事は政府を通してカイロ大学長に「卒業したことを証明する」という声明文を出させた約10日後に、堂々と卒業証書を出したんです。

卒業証書には敬称がミスではなくミスターになっているなど不可解な点があったものの、「大学が卒業していると言っているんだから、これは本物なのよ」と突き通せますよね。私は当時から「カイロ大がお墨付きを出したとはいえ、これらは偽物ではないか」って確信しておりましたから、自民共産が弱腰になろうが絶対に追及し続けようと意を決しました。
 

―――小池知事が自称するカイロ大卒業という経歴は、1992年に参議院議員に初当選したころから疑惑報道が繰り返され、その度にうやむやになってきたイメージがあります。

小池さんが将来に向けてさまざまな根回しをしたり、権力の階段を急いで登っていった動機のひとつは間違いなく「権力欲」でしょう。しかしもうひとつ、誰にも文句を言われない立場にならない限り、学歴詐称の問題が必ずついてまわるとわかっていたからこそ、急いで階段を登っていったんだと私は思います。

約40年前、若かりし頃の小池百合子知事(著書『振り袖、ピラミッドを登る』より)
約40年前、若かりし頃の小池百合子知事(著書『振り袖、ピラミッドを登る』より)

――今回の疑惑再燃後、小池知事はまたしても「大学が認めている」と抗弁しています。

それは大学が認めざるをえない“なにか”があったからそうなったわけで。普通は自分で大学から証明書を取り寄せ、声明を出せばいい。そもそも大使館を通じて証明するものではないですから。いくらカイロ大とはいえ異様ですよ。例えば米国のワシントンD.C.のトップの学歴を、どこかの大使館が証明するなんてことはありえないわけですから、不自然極まりないですね。

しかも小池さんのアラビア語は、流暢どころかしどろもどろだったので、いろんな界隈から「本当は卒業してないんじゃない?」と言われてしまうわけです。しかも小池さんは「首席で卒業」としていますが、これって例えるなら東京大学に留学にきた外国人が首席で卒業するようなものですよね。そんな優秀な人なら、50年経っても「普通にしゃべれるでしょ?」と思うのが当然でしょう。

ましてや実際に小池さんの留学時代をリアルに見ていた北原百代さんが「落第した」と証言している。その後に何らかの形での卒業をカイロ大が認めていたとしても、正規のルートでの卒業はしていないだろうと思っています。