「ダウンタイムだから」とごまかすこともしばしば

「二重まぶた整形の施術で、『医師が患者さんのまぶたに穴を開けてしまった』という話は聞いたことがあります。切開による施術でメスを入れすぎて、眼球が露出してしまったのです。

クリニックには研修医上がりの若手の医師が多かったのですが、彼らは臨床経験が乏しいままに現場に立ちます。まぶたの構造をよく理解しないまま執刀したため、皮膚を切りすぎてしまったというのです。

また、ハイフ(前出の痩身治療で使用する医療機器)の部品を落としたのに、メンテナンスを行なわなかったこともあります。医療機器を落としたり、破損した場合は必ずメンテナンスしなければいけないのが業界の常識。火傷や神経損傷を引き起こす危険もある医療機器を粗雑に扱っていることに大きな不安を覚えました」

A子さんが耳にしたという“まぶたに穴”の一件ついては、このクリニックの現役看護師、B子さん(20代)も同様の証言をしている。

※写真はイメージです
※写真はイメージです

「あのときは、患者さんが未成年で、保護者から『施術に失敗したのでは』として、返金と再手術を求められるなどトラブルになったことを覚えています。私が立ち会った別の施術でも、看護師が医師に『まぶたの皮膚を切りすぎています!』と進言して、一大事になるのを回避する場面もありました。

術後の腫れは本来、1週間もあればおさまりますが、そうした事故があった場合は皮膚が再生するまでにかなりの回復期間を要します。患者さんが不安を覚えて相談に来ても、『腫れが引くまでのダウンタイムだから』と言い訳してごまかすこともしばしばでした」(B子さん)

施術をめぐるトラブルはこれだけにとどまらない。二重まぶた形成以外でも、「特殊な糸を使った顔面のリフトアップ(引き締め)の施術では、糸が顔面の皮膚から飛び出すという事故もあった」(同)という。