「昔は楽屋でメイクするのが怖かった」女芸人の悩み

「『本当に“お笑い”が好きな男性もありがとうございました』という文章の真意は西野さんにしかわからないですが、『本当に“お笑い”が好きな男性』の対義語が“顔ファン”というのも少し違うのではないかと個人的には思います。芸人は言葉や表情や動き、体全体で表現するのが仕事なので、“顔が好き”というファンがいても当然だし、そこは否定されるものではないかと。

しかし、女性芸人を何人か取材して感じたのは、芸人界においては“女性”であるというだけで必要以上に“女性”を意識させられるということ。Dr.ハインリッヒが『女のクソ仕事』と呼んでいたような、セクハラにキャーキャー言ったり、逆に若手の男性俳優にセクハラまがいのことをしたりする役割もそうですし、ちょっとネイルをしていただけで『見た目ばっか気にしやがって』と男性芸人に揶揄されるとか、ブレイクすれば『女だからな』的な見方をされるという話も聞きました。

Aマッソの加納さんが『昔は楽屋でメイクするのが怖かった』と話していたんですね。たしかハインリッヒの彩さんも『髪の毛を巻けるようになったのは最近』だとラジオで言ってました。メイクや巻き髪を女性的なアイコンとして捉えられてしまうことに必要以上にピリピリせねばならなかったのではないでしょうか。実際に一部の男性ファンに嫌気がさしていたのもあるのでしょうが、メディアも含めた『女性芸人の「女性」の部分ばかり見てくる(求めてくる、立たせてくる)』風潮全体のことを言ってるのかなぁと思います」(西澤氏、以下同)

M-1グランプリ2022では圧巻のパフォーマンスを披露したヨネダ2000 写真/集英社オンライン
M-1グランプリ2022では圧巻のパフォーマンスを披露したヨネダ2000 写真/集英社オンライン

また、今回ハイツ友の会が解散をしたことで、女性コンビの解散率の高さも指摘され始めている。アジアン、少年少女、はなしょー、根菜キャバレー、ねこ屋敷…そして、ハイツ友の会と同じく、今年の3月31日に尼神インターも解散を発表した。いずれも、テレビ仕事があったり、賞レースのファイナリスト経験であったりと、人気を博していた中での解散だ。

また、ピン芸人の中でも、ブルゾンちえみ、田上よしえが芸人を引退。ほかにも、活動場所をお笑い以外のフィールドに移した女芸人は多い。なぜ女芸人の解散・引退率は高いのだろうか。