「高学歴の幸福論」とは
既にお話しした通り、高学歴には世間からの視線が集まります。そして、評価の基準が普通よりも厳しいです。なので「ここで失敗したら、『東大生のくせに』って言われるんだろうな」と考えた結果、リスクを取って挑戦することが難しくなってしまいます。
僕も、仕事を抱えがちな東大生に「なんでそんなに仕事を抱えるの? 他の人を頼りなよ」と言ったことがあるのですが、そのときこう返されました。
「いや、頼ってしまうのはなんだか申し訳ないし、自分一人ではできなかったって意味で失敗のように感じられて」
と。要するに、「失敗したくない、できない」という感覚が彼ら彼女らの成長を阻害しているのです。
では、そんな中で、どんなふうに高学歴と接すればいいのか?
これはとても簡単な話です。まずはこの「高学歴の幸福論」を理解してあげましょう。気軽に「高学歴なのにこんなこともできないのか」などと言わないこと。初歩的なミスをしたとしても、高学歴という色眼鏡では評価しないこと。これが一番重要なことです。
その上でもう1つ重要なのは、「失敗したときでも、相手を評価すること」だと思います。人間誰しも、初めて水に入る時は怖いと感じるものです。海水を飲んでしまったり、溺れかけてしまったりもするでしょう。でも、そういう経験も乗り越えた上で、徐々に泳げるようになっていくものです。
「失敗しても大丈夫」
これをきちんと伝えてあげることが重要です。
失敗したことを笑わず、むしろ果敢に挑戦したことを肯定する。そういう上司の下であれば、徐々にですが、マネージャーとしてのスキルが身についていくのではないかと思います。
文/西岡壱誠