高学年が家庭教師をやりたがる理由
が、僕の考えは少し違います。この件、実はプライドはあんまり関係ないと思います。
もちろんそういう思考がないわけではないと思うのですが、しかしプライドがあまり高くない人でも、怒られるのを嫌がることは少なくありません。
高学歴が怒られるのを嫌がる理由は、単純に経験不足です。今までの人生の中で、人から何か指摘されたり怒られたりする経験が少なく、要するに「怒られ慣れていない」場合が多いんです。
高学歴は「いい子」だったケースが多いです。今までの人生の中で、きちんとやるべきことをこなし、先生からあまり怒られた経験がなく、人から上から目線で何かを言われるようなことはほとんどないような人生を送ってきました。つまり、「人から怒られる」ということに対して、単純に経験が乏しいのです。
みなさんは、高学歴が一番よくやるバイトを知っていますか?
一番はやっぱり、家庭教師です。子供に対して勉強を教えるバイトをして、お金を稼いでいる場合が多いです。そしてこの家庭教師というバイト、基本的にはそのバイト先で「先生」として扱われます。物を教える立場なので、相手から敬語で話されて、丁寧な扱いを受けるのです。時給もよくて、特に大きな失敗をしない限り怒られることもなく、のびのびとバイトができます。
逆に、普通の大学生に多いバイトは、飲食系ですよね。居酒屋でバイトして、先輩から怒られたりお客さんから理不尽に何か怒られたりして、精神的にダメージを負ったりすることもありながら、それでも働く場合が多いでしょう。こっちの方が、「怒られ慣れる」わけです。
もし自分が高学歴で、怒られないバイトとよく怒られるバイトのどちらかを選ぶとしたら、当然怒られない方を選びますよね。ですから自然な流れで高学歴は飲食系のバイトを避けがちになります。そっちの方が合理的だから当たり前にそうするわけですが、しかしその結果として、「怒られる経験」が少なくなってしまうのです。
さらにもっと言うなら、高学歴で勉強に関して自分を適切に追い込んできた経験がある人の中には、こだわりが強い人がよくいます。何をするにしても完璧主義で、「100点以外では気が済まない」「1位じゃないとだめ」とストイックに自分を追い込んできた人が、結果として受験でも成功し、高学歴になったというパターンも多いのです。
だからこそ、仕事が100点満点でないと、「自分が否定された」と過度に感じてしまう場合が多いわけです。
また、同じ理屈で、「失敗」に関してもとても大きな恐怖心を持っている場合が多いです。よく世間やネットでは「高学歴は打たれ弱い」と言われていますが、僕はこの言説、間違ってはいないと思います。
学生時代からとても優秀な人で、期待の新人として会社に入ったのに、最初のプロジェクトでちょっとうまくいかないことがあったからという理由で、会社をすぐに辞めて家に引きこもってしまった、というような東大卒の人もいます。僕が知っている限りでも確実に2、3人は存在します。
このように、高学歴は人から怒られる経験・できない経験・失敗した経験が少ない人が多く、そうしたこととの向き合い方で苦労する場合が多いのです。