「暮らしやすさを求めて中国から日本に来る人も多い」

「コロナ後、外国人の問い合わせが増え、売買は今では6、7割が外国人です。以前はベトナム人もいましたが不動産価格上昇の影響で少なくなり、今はほとんど中国の方が占めています」(同不動産会社幹部)

中国人による日本の不動産売買といえば、資産づくりのための高級物件が想像されるが、竹ノ塚では少し様相が違うという。

「目立つのは1000万円台といった低価格帯の物件の人気が高いことです。かなり古い物件になりますが、サイトに販売情報を載せるとすぐに中国から問い合わせがきます。リフォームをして、中国人向けに売り出したり賃貸に出したりする狙いのようです。

こうした傾向はこれからも続くとみています。資金力がある中国人とは現金で取引できるので商売としてはありがたいのですが、値引き交渉で無理難題を言ってきたり、話をひっくり返したりすることがあるので、やりづらい面もあります」(同不動産会社幹部)

竹ノ塚駅(撮影/集英社オンライン)
竹ノ塚駅(撮影/集英社オンライン)

外国籍住民が多い足立区が2021年に行った生活実態調査では、回答者の41.2%が一戸建てかマンションの持ち家を所有。また、足立区に「いつまでも住み続けたい」「しばらくは住み続けたい」と答えた中国人の回答者は計76.6%に上っている。

近年、外国人が急増した一部の地域で起きているような排斥運動も竹ノ塚では起きていない。

金曜の夜に部下とガチ中華の店舗に訪れた中国人ビジネスマンは「ここは治安もよくて(中国人が多い)西川口よりも落ち着いているので、ファミリー層には人気が高いと思います。実は中国からは、暮らしやすさを求めて日本に来ている人も多いんです」と話した。

後編(#2)では、移住地として実際に竹ノ塚を選んだ中国人たちの意見を聞いてみる。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班