なぜ共産党は支持が伸びないのか
――まず監督自身、政治的スタンスはノンポリで共産党支持でもない、と。
はい。それは全くなくて、学生時代からデモなんて行ったこともなかったし、政治の話をしているやつは意識高いなくらいに、むしろ毛嫌いしていたほどで(笑)。
もちろん、この映画も共産党から依頼されたものではないですし、恥ずかしながら政治に対して自覚的になったのも前作でSEALDsの活動を知ってからです。その撮影を通して、今の状況に危機感を持ったり、声をあげることの大切さを学びました。
――そんな中、あえて共産党に興味を持ったきっかけは?
毎回、デモや集会に必ずいる政党で、かつ、良いことを言って帰っていくという(笑)。具体的にその存在を近しく感じるようになったのはコロナ禍になってからなんです。
「SAVE the CINEMA」っていうミニシアター支援の陳情の際に、文化庁とか役所を相手にするなら議員の方に同行してもらったほうがいいと弁護士から聞いて、そこで同席してくれたのが共産党の参議院議員、吉良よし子さんでした。
彼女が“文化庁が今、文化を守らないでどうするんですか?”と啖呵を切るほどの勢いで、自分たちの思いを代弁してくれて。社会にある様々な問題を自分事として捉え、変えていくために活動する人がこの政党にはいるんだとの印象を強くしました。
同時に、誤解されることも多いし、支持が伸びないのはなぜだろうと。共産党をもっと知れば、この国の現状も見えてくるのではと覚悟を決めました。
――単刀直入にずばり、映画を撮り終えて見えたものとは?
もちろんいいところもあるし、シンパシーを感じながら撮影していました。ただ、志位和夫委員長を中心とする党の考え方を誠実に実行していこうとする中で、逆に多様性を阻んでいるんじゃないかとか、課題も多々あるなと正直、感じています。共産主義革命を目指しているのでは?とか、古い価値観での漠然とした印象は薄らぎましたけどね。