そもそも、インボイスとは?

「インボイスについて全く知らない!」という方のために簡単に解説すると、インボイスの正式名称は「適格請求書」。皆さんが聞き慣れた「領収書」や「請求書」と違って、限られた人や事業者(=課税事業者)だけが発行できる。

インボイスに直接の関係がある人(後述)は、インボイスを発行できるように登録しないと多大な不利益(取引から排除される、取引先から支払いを値引きされる、等)を被る仕組みになっている。

では、「インボイスに直接の関係がある人」とは誰か? ざっくり説明すると、年収1000万円以下のフリーランスや個人事業主が該当し、具体例は以下に列挙する。いわゆる会社員以外はほぼ該当すると言っても過言ではないほど多岐にわたる。

俳優、映画監督、脚本家、カメラマン、ディレクター、構成作家、編集者、アニメーター、芸人、アーティスト、作家、漫画家、翻訳家、校正者、ライター、デザイナー、イラストレーター、スタイリスト、ヘアメイク、Webデザイナー、ITエンジニア、ミュージシャン・音楽家、コンサート・ライブスタッフ、ハンドメイド作家、大家(居住用除く)、プロスポーツ選手、スポーツトレーナー、インストラクター、ダンサー、マッサージ師、ネイリスト、コンサルタント、一人親方、個人タクシー、ウーバーイーツなどの配達パートナー、配送業者(赤帽など)、シルバー人材センターで働く高齢者、伝統工芸などの職人、農家(農協、市場以外と取引がある人)、日雇い労働者、駐車場経営者、スナックなどの飲食店・商店の事業者、ヤクルトレディ、フリマサイトや手作り通販サイトの出品者、内職、クラウドワーカー、今は存在しない新しい仕事に関わる人など
引用:「STOP! インボイス」ウェブサイト

この一覧を見て「自分は無関係」と思う会社員も多いかもしれないが、それは大間違いだ。例えば業務理由で個人タクシーを利用した場合、タクシー運転手がインボイスを発行できない(=課税事業者に登録していない)と、事務処理の手間が無駄に増え、最悪の場合は会社が経費として認めてくれない(=自腹で支払う)ことも想定される。この件の詳細は、冒頭に紹介したYouTube動画のケース5(24分51秒〜)で確認できる。

また、クリエーター(漫画家・作家・アーティスト・俳優 等)の作品・サービスをファンや顧客として利用している人たちにも間接的に影響が出てくる。なぜなら彼らがインボイスによって廃業に追い込まれたら、もう二度とその人たちの作品・サービスを利用することはできないからだ。つまり無関係な国民は1人もいないと言っていいほど、その影響範囲は大きい。

実質的増税による収入減少、取引機会の喪失、無駄な事務処理の増加、廃業の恐れなど、一般国民が多大な不利益を被るインボイスは、百害あって一利なしの制度と言っても過言ではないのだ。

*インボイス制度の詳細を知りたい場合は「STOP!インボイス」ウェブサイト参照