雑誌で世界に1台しかない愛車を披露

一般的に男性アイドルは男性からの人気を得るのはなかなか難しいものだが、マッチの場合は違ったようだ。飲食店を経営する50代女性が証言する。

「マッチには『ストロベリージャム』といったかわいい名前から『影法師(シャドー)』というイカつい名前まで、さまざまな親衛隊(ファンによる私的な応援グループ)が作られ、なかには男だけで構成されるグループもありました。

車好きが高じて、A級ライセンス(国内Aライセンス)を取得してレースに出場するなど、マッチにはただのアイドルっぽくない男らしいところがあったからじゃないかな」

昭和57年12月16・23日合併号の「週刊明星」では自動車免許を取得したばかりの18歳のマッチに直撃。そこでマッチは笑顔でこう答えていた。

「週刊明星」(昭和57年12月16・23日合併号)で免許取得したことを報告するマッチ(撮影/青柳宏伸)
「週刊明星」(昭和57年12月16・23日合併号)で免許取得したことを報告するマッチ(撮影/青柳宏伸)

「3か月かかったけど やっとクルマの免許がとれたんだ 新しい車がもうすぐ来るんだけど 仕事ではたぶん使わないだろうネ 「今やっとかなきゃ」って 眠いのガマンしてがんばった(中略)A級ライセンスをとって、レースに出たいんだ。(中略)行けるとこまでワーッと行きます」

昭和58年9月22・29日合併号「週刊明星」では、19歳の誕生日にプレゼントしてもらった、世界に1台しかない特別仕様の自慢のレーシングカー「ニッサン・マーチ・スーパーシルエット」を披露。「この排気音、最高だね」というコメントからも、当時から車にそうとう夢中になっていたことがうかがえる。

「週刊明星」(昭和58年9月22・29日合併号)で自慢のレーシングカーを初公開(撮影/青柳宏伸、亀井重郎)
「週刊明星」(昭和58年9月22・29日合併号)で自慢のレーシングカーを初公開(撮影/青柳宏伸、亀井重郎)
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別のお店で店主を務める50代女性も、マッチについての思い出をこう振り返る。

「東宝映画の“たのきんスーパーヒットシリーズ”(『青春グラフィティ スニーカーぶる〜す』『ブルージーンズ メモリー』『ハイティーン・ブギ』『ウィーン物語 ジェミニ・YとS』『嵐を呼ぶ男』の6作品)は全部観に行きましたよ!

『ブルージーンズ メモリー』(1981年公開)の舞台となった山下公園は映画公開以降、ファンで溢れたし、『ハイティーン・ブギ』が公開されてからCBX400Fに乗る男子がかなり増えました。私も、当時の彼氏とバイクで二ケツして山下公園まで行きましたよ。まさに当時のアイコン的存在だったと思います」

ドラマ第5話ではムッチ先輩が愛車のホンダ・CBXに向坂サカエ(吉田羊)を乗せて颯爽と走るシーンがあったが、当時を彷彿とさせる光景だったのだろう。