#1 #2 

お尻がかわいい仏像

南禅寺は伊豆の河津にあるお寺で、温泉や河津桜が有名な土地です。「伊豆」と聞いて仏像を思い浮かべる人は少ないかもしれませんが、実はびっくりするほど仏像の多いところなのです。

中央(奈良や京都)から離れた地方の仏像というのは、都の真似の真似でだんだん下手っぴになっていくことがよくあります。しかし、奈良や京都の仏師が来て彫ったような、中央との交流が感じられるものもとても多いのが、伊豆のすごいところ。

平安、鎌倉、室町、江戸時代といろんな時代の大変立派な仏像が多いんです。そんな素晴らしい伊豆の仏像の代表ともいえるのが、南禅寺の仏像群です。

南禅寺のご本尊薬師如来坐像は平安時代前期に造られた仏像です。めちゃくちゃ重厚感があって品もある。京都の大寺院のご本尊にいらしてもおかしくないような見事さです。

正面から見るとお腹がポコッと出ていて、下半身はどっしりと太っていて、なんだかかわいらしい。伸びやか〜なお顔にはとてつもなく癒されます。そして後ろに回ってぜひ見てほしいのがお尻です。お尻もまあるくてかわいい。

それから、カヤの木を使った一木造りの太い二天像が特にめちゃくちゃかっこいいのです……。ヨーロッパの巡回展でも絶賛されたという功績もある二天像は、両腕が亡失してはいますが、ポージングだけでものすごく躍動感とかっこよさが伝わってくるんです。

いかついお顔で腰つきはグイッとねじれていて。両腕が欠けているからこそ際立つ体幹部の魅力。気高い騎士のような、一人称が「私」のタイプの紳士のかっこよさです。うっとり。

その他、菩薩像や天部の像なども数多く残っています。朽ちかけてボロボロになってしまっている仏像や、体幹部分や腕など体の一部しか残っていないものもありますが、わずかな部分からでも伝わってくる存在感があります。体の朽ち具合で時間経過を感じながら、遺された仏像の多さに、かつては大寺院だったのだろうな〜と想像が膨らみます。

お尻がまあるくてかわいく、とてつもなく癒される静岡県内最古の仏像…一度は訪れてみたい伊豆、南禅寺の仏像群_1
南禅寺が所有するこれらの仏像は、2013年にお寺の横にオープンした「伊豆ならんだの里 河津平安の仏像展示館」に展示されています。
すべての画像を見る