集英社オンラインで呪物というと、「呪術廻戦ネタかな」と思われそうですが、違うんです……!
本日ご紹介する「祝祭の呪物展」は、オカルトコレクターの田中俊行さんと、怪奇ユニット・都市ボーイズのはやせすひろさんが蒐集した呪物を、間近で眺めることのできる世にも奇妙な展示会。
5月29日まで、東京・日本橋のアートホテル「BnA_WALL」にて絶賛開催中です。東京に先駆けて行われた大阪での展示会では、約4,000人が来場。連日、入場規制がかかるほどの大盛況だったそうです。
それにしても、本来は忌むべきものである呪物を、なぜ展示しようと考えたのでしょうか。コレクターのお二人と、展示会の企画運営を担ったアシタノホラー株式会社の片山さん、今回の展示会に企画段階から深く携わった文様作家で怪談蒐集家のApsuShuseiさんにお話を伺いました。
「呪い」が「祈り」へと転じるような展示会を
——そもそもどういった経緯で、呪物を展示することになったのでしょうか?
片山 順を追ってお話しますね。まず私たちアシタノホラー株式会社では、デザインと企画の力で、ホラーの魅力とアート&ポップカルチャーをつなぐことを目指した「アシタノホラー展」というイベントを数年前から手がけていて。2020年の開催時に、田中さんが所有する「おばあちゃんのデスマスク」という呪物を展示させていただいたんです。
——実物を拝見させていただきましたが、なんとも不気味でした。
片山 けれど展示期間中に何度も足を運んでくれたお客さまのなかに「最初に見たときよりも、おばあちゃんの表情がやさしくなったね」と言ってくださる方がいて。確かに、なんというか、多くの人に「見られる」ことで、デスマスクのネガティブな部分が薄まったような気がしたんです。その出来事をきっかけに、展示を通じて、呪物そのものが変化していくような、インタラクティブな体験を提供できないだろうかと考えるようになりました。それを形にしたのが、今回の「祝祭の呪物展」です。
——見る人によって呪物の呪いが解かれていくようなイメージでしょうか。
Apsu Shusei そうですね。それにそもそも「呪い」って、「祈り」と区別がつかないようなところがありますよね。実際に、世界各地で伝統的に呪物と呼ばれてきたものの多くは、「誰かを呪うため」ではなく、「誰かの願いを叶えるため」につくられたものが少なくありません。
Apsu Shusei ところが、現代で呪物というと、みなさんが想像するのは「かつての所有者は、こんな不幸な目に遭って」といったエピソードとあわせて来歴が語られる、いわゆる“曰く付きの品物”です。その違い自体もすごく興味深いのですが、そうした性格の異なる2種類の呪物を同じ空間に集めることで、私たちが持っている呪物に対するイメージを揺さぶろうというのも、今回の展示の狙いの一つです。