被災地でのボランティアの数の少なさ
まず、能登半島地震への岸田政権の拙い対応の1つに、被災地でのボランティアの数の少なさが挙げられる。阪神大震災と比較するとボランティアの人数に圧倒的な大差がついていることを2月18日付の神戸新聞の記事は指摘している。
阪神大震災:発災後1か月で延べ約62万人
能登半島地震:2月16日までの発災後1か月半で延べ2739人
(*災害ボランティアセンターを通じた活動人数)
統計によると、能登半島地震のほうが約1.5倍の期間にもかかわらず、ボランティア従事者の延べ人数は阪神大震災のほうが200倍以上にも及ぶ。この背景として、能登半島地震では被災地入りを自粛するべきという主張を投稿したSNSが散見し、ボランティアさえも自粛するムードが蔓延してしまったことが考えられる。
本記事ではこの奇妙な出来事を時系列に基づいて指摘していく。
「被災地入りを自粛せよ」という主張の最大の特徴は、5W1H(When、Where、Who、What、Why、How)を一部のSNSで自粛対象を誤解して投稿されたことにあると筆者は考えている。行政機関(石川県、国土交通省等)は「『能登半島』に『不要不急の用事』で行くことは控えてほしい」と比較的正確な情報を伝えていたものの、その発信を引用した者たちは自粛対象をすり替えたり、拡大解釈した上で拡散していた。こうした不確かな情報をもっともらしく発信したSNSは非常に誤解を招きやすいと感じた。
特にわかりやすい例として、「Where(どこで)」と「What(何を)」の混同を紹介する。ボランティア不足にとどまらず、周辺地域の経済にも暗い影を落としたのが「Where(被災地入りを自粛すべき場所)」の混同である。行政機関は「能登半島」と明記して情報発信していたが、こうしたSNSの公式アカウントからのポストや文書を引用した者たちは「石川県」や「被災地全体」も含むという誤解を招くようなポストをX(旧Twitter)上で拡散していた。