車で10分の国道沿いのモールでほとんど事足りる

自宅の近所には商業施設が少ないので、Amazonなどのネット通販に頼る機会も多いが、買い物に行く際は可能な限り複数の用事をまとめて済ませるようにしている。

既存の商店街が衰退した現在の地方都市はどこも同じ状況だと思うが、僕の住む千葉県横芝光町にも、市街地の国道沿いに、スーパーマーケットやドラッグストア、100円ショップやホームセンター、コインランドリーが一体となっている小規模なモールがあり、大体いつもそこで一通り日常の用事を済ませてしまう。

飲料など、まとめ買いを行う際は、少し足を延ばして近隣自治体のディスカウントショップに行くこともある。小規模なドラッグストアやスーパー、コンビニであれば近所にもあるので、簡単な買い物であれば近所で済ませることも多い。

モールまでは車で10分強程度の距離なので、車がある限りは、そこまで無理に買い溜めをしなければならないほどの極端なへき地に住んでいるわけではないのだが、近年は燃料も高騰しているし、毎日買い物に出かけるのも億劫なので、いつもある程度はまとめて買っている。

そうなるとますます、すべて手荷物として運ばなくてはならない公共交通機関よりも自家用車での買い出しに分があるわけで、こうして改めて振り返ると、今の生活は本当に車ありきの前提で成り立っているものなのだと痛感する。

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写真はイメージです

コンビニでは野菜が山積みになって売られている

ところで話は少しそれるが、現在の地方都市では旧来の商店街や個人商店は衰退の一途をたどっており、地元住民は大手のチェーン系列店やフランチャイズ店で日用品を購入するのが一般的になっている。しかし、店舗自体は東京に本社のある大手資本の系列だとしても、そこで働く従業員は地元の住民であるし、買い物客も地元住民なので、一歩踏み入れば田舎町の流儀に支配されているケースもある。

それがもっとも顕著なのはコンビニエンスストアで、これはもう従前の個人商店がそのままコンビニに置き換わっただけと言っていいようなお店がある。

僕の前著は地元のコンビニエンスストアでアルバイトをしながら執筆していたものだが、店に来るお客さんはいつも同じ顔ぶれで、しばらく働いているうちに、どのお客がどのタバコを買うか、どのお客がレジ袋を必要としているかまで記憶してしまった。

地域で長く営業を続けるオーナーは、そんな馴染みのお客さんに対して敬語すら使っておらず、よく雑談に興じていた。周辺にスーパーマーケットが少ないコンビニでは、店の外まで所狭しと野菜が積まれて販売されているのはもはや普通の光景であるし、外観は無機質に見える大手フランチャイズであっても、個人商店の流儀がそのまま生きているコンビニは、商品価格や品ぞろえだけでは判断できない役割をも果たしているように思える。