ももクロ vs. ぱすぽ☆

――あの頃、ももクロのメンバーがぱすぽ☆を異常に意識してたんですよね。

そうなんですかね?

――ボクが忘れられないのは、百田夏菜子さんと話してるときにPASMOと間違えて「ぱすぽ」って言った瞬間に、「はぁ!? そっち側なんですか!!」みたいな感じでものすごい詰められたことありますよ。

嫌いだったんだろうな、あの頃。そりゃそうですよね。

――一緒にやってた人がライバルみたいなグループのスタッフになってオリコン1位を取ったら、そりゃ気にしますよ。

ふつうにももいろクローバーのインストアイベントの隣でぱすぽ☆がやってて、「あいつらには絶対負けねえぜ」って言ってた翌月にあっちでやってるわけですから。

「マジで全員ガン飛ばし合ってました」「スタッフ同士も当然バチバチ」 AKBやハロプロのひしめくアイドル戦国時代の舞台裏でFKDが目にしたものとは 聞き手:吉田豪_5

ももクロとぱすぽ☆ってどっちにも玉井がいて、ももクロの玉井詩織とぱすぽ☆の玉井杏奈がいるんですよ。それでぱすぽ☆の握手会のレーンを並べるときに「はい、根岸愛ここでーす、玉井詩織は……」って言っちゃったことがあって、すごい凍りついて。あんにゃ(玉井杏奈)に壮絶に睨まれて、「殺すぞマジで」みたいな顔されて(笑)。

――うわー!

いま考えれば完全タブーじゃないですか。こっちの現場の人間が翌月、何食わぬ顔であっちって。しかも一番取るとかやってるわけですよ。そりゃ気分悪いですよね。でも、それをやったからアイドル戦国時代はおもしろかったんじゃないですか?

僕、最後のももクロ現場はTIFの1回目(2010年8月7~8日)です。そのときにぱすぽ☆も出てて、その翌週にぱすぽ☆と契約したんですよ。だから完全裏切り者ですよね。それもありながら、実はさくら学院にも関わってたという。

――そうだったんですか!

さくら学院、ユニバーサルから出してたじゃないですか。エビ中も最初やってましたし、アップアップガールズ(仮)の最初の『Going my ↑』の歌詞は俺ですし。だからあの頃いろんなアイドルユニットのいろんな曲を作りまくって、とんでもねえヤツですね。楽しかったですよ、お金はなかったですけど。 

ぱすぽ☆で1位取った翌週にたまたま藤下さんに会ったのかな、「おまえ、やり切ったね」って言われてすげえうれしかったのを覚えてます。トップに立つ人って下っ端にそうやって声をかけてくれるんだって思いましたね。

――藤下さんは別格ですよね。

音楽業界で一番お世話になった方かもしれないです。あの人が好き勝手やらせてくれなかったら……そりゃ社長になられるわって思いますね。あんなにすごい人、あとにも先にも芸能界でお会いすることないと思います。川上さんは川上さんでものすごい方だしめちゃくちゃ尊敬してますけど、この歳になってわかる藤下さんのすごさはホントあります。