「最初は『ヤクザに拉致られた』って聞いていました」
斉藤さんは中学時代にはバレーボール選手として活躍し、磐田市内の私立高校に進学したが退学し、アルバイトをしながら通信制高校に通っていたという。年上のある友人が語る。
「彼はみんなから下の名で『ウカワ』って呼ばれていました。ノリもよくて、少しおちゃらけた、いいやつだっただけに寂しいです。中学ではバレーを頑張っていて、高校でもバレーをしていたんですけど、辞めて通信にいくようになったんです。
それで時間もあるからって浜松の街中で客の“呼び込み”のバイトをしていたんですよね。街中ではけっこう名前も知られるようになって、見た目も随分とあかぬけていた。去年の夏くらいに呼び込みのバイトは辞めて、最近は土木とかのバイトをたまにしていました」
キックボクシングジムに通うようになった斉藤さんは、腕っぷしにも自信があったという。
「ウカワは背も高くて、最近はキックボクシングも始めてだいぶガタイもよくなったんです。そこらの同年代じゃケンカも勝てないですよ。ちょっとトッポイところもあるんで、調子にのると『やんのか!』ってよく腕まくりしてふざけてきたり、軽く殴ってくることもありましたね。
それこそ、行方不明になる2、3日前も街中で友達と遊んでいるとこを見かけました。悪ノリなのか、本気なのかわかりませんが、ツレの友達と胸ぐらをお互いにつかみあってましたよ」
高校を中退し、夜の街にデビューした斉藤さんには、派手な一面もあったようだ。
「高校生のときは彼女もいたみたいだけど、最近はいなくてナンパもよくしていました。遺体が発見される2、3日前に『ウカワが行方不明になった』って話がでまわってきて、最初は『ヤクザに拉致られた』って聞いていました。
だからよほどヤバイ女にでも手をつけたのかなって心配していたんです。仲がよかった友達もインスタで『行方不明になって金もまったく持っていません。見かけた方はもしよかったら連絡してください』って呼びかけていました」
取材に応えた友人は、失踪前に斉藤さんが立ち寄った浜松市内のアパートや、そこに集まる知人たちのことも知っていた。
「ウカワの自宅は袋井だったけど、しょっちゅう街(浜松駅周辺の繁華街)に遊びにきていて、少し前までは“家康前”(浜松駅前の徳川家康をモチーフにしたモザイクアート広場)でたむろしていました。仲がいい仲間が4、5人いて、ほとんどがバイク持ちだったんですが、宇川はもってなかったから誰かの後ろに乗っていました。
最後にいた知人宅っていうのも、街の近くのみんなのたまり場で、そこには年上の先輩も何人か出入りしていました。その家にはよく、遺体発見現場の近くに住んでいる女の先輩も出入りしていました。黒い軽自動車に乗っていた人です」
快活なスポーツ少年が高校をドロップアウトして踏み込んだ「ヤンチャ」仲間との溜まり場で、何があったのか…。捜査本部は注目している。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班