「お寺として信仰を大切にしていくために、ご理解いただきたい」

蘇民祭が今年で最後の開催というニュースが飛び交ったあと、「ボランティアとして手伝うから継続してほしい」との声が全国から相次いだ。

しかし、それでも藤波住職の決断は変わらないという。

JR東日本が「不快感を与えかねない」として掲示を断った2008年の蘇民祭のポスターに映っていた男性。当時、話題となり、取材に答えている
JR東日本が「不快感を与えかねない」として掲示を断った2008年の蘇民祭のポスターに映っていた男性。当時、話題となり、取材に答えている

「最後だと発表してから、本当にたくさんの方から『手伝います』との声をいただいていて、具体的に「私たちがここをやりますから」という声もある。

ただ先ほども申し上げたように、祭事には替えがきかない役割があります。外の人は入れない部分が大きいんです。お寺として、信仰を大切にしていくためにそこは守りたい。

本当にありがたいお声をたくさんいただき、ありがとうございます。今回でお祭りとしてみなさんに参加していただく部分は終わりにはなりますが、蘇民祭としての信仰の形はそれぞれあるので、ぜひ来年以降にもお寺に来ていただければ本当にありがたいです」

祭りとしての形はなくなるが、黒石寺は旧正月の護摩祈祷などは今後も継続していくとしている。

最後の黒石寺蘇民祭は2月17日(土)に開催、午後6~11時の短縮開催で、裸参りやコロナで中止をせざるをえなかった蘇民袋争奪戦も4年ぶりに行う。最後の蘇民祭を集英社オンラインでも2月18日にレポート予定だ。

火のついたまきに上がる柴燈木登(ひたきのぼり)も今年はなし。写真は2008年の様子
火のついたまきに上がる柴燈木登(ひたきのぼり)も今年はなし。写真は2008年の様子
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取材・文/集英社オンライン 撮影/村上庄吾