そもそも女性参加を禁じていたわけではなかった

毎年、2月下旬~3月に開催される国府宮はだか祭。この日がくると42歳と25歳のふんどし姿の厄男たちが愛知県中から尾張大国霊神社(国府宮)へと集まる。

そして、厄除け祈願である儺追(なおい)神事を終えると、参道の一角に全身無垢姿の神男が警護の者に守られて裸男の群れの中に登場し、祭りは最高潮を迎える。

志願者の中からくじ引きで選ばれた神男に触れることで厄落としができるとあって、集まった“裸男”たちは神男に触ろうと激しい押し合いへし合いに。この「もみ合い」は負傷者が出ることもあるそうだ。そんな天下の奇祭に、コロナ禍前の2019年は1万人もの厄男たちが尾張大国霊神社を訪れた。

神男を触ろうともみ合う裸男たち(2018年2月28日撮影)
神男を触ろうともみ合う裸男たち(2018年2月28日撮影)
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220年前からはだか祭りに参加する40代男性は言う。

「ちょうど前厄の年に離婚して落ち込んでいたところ、飲み友達から誘われて初参加しました。儺追神事で『ワッショイ、ワッショイ!』と笹を奉納するために拝殿へ駆け込む『儺追笹(なおいざさ)奉納』というものがあるんですが、毎年、裸男たちから湯気が出るほどすごい熱気なんです。あんな荒くれた祭りに女性が安全に参加できるのでしょうか。ちょっと想像がつかないですね」

儺追笹奉納で境内に駆け込む裸男たち(2018年2月28日撮影)
儺追笹奉納で境内に駆け込む裸男たち(2018年2月28日撮影)

“前哨戦”ですらそんな熱気なのだから、神男が現れるとその危険度は相当増すのだろう。尾張大国霊神社の権禰宜(神職)は言う。

「そもそも神社として女性の参加を禁じていたわけではありません。ただ、江戸末期に現在のような裸男への『もみ合い』が行われるようになってから、あまりに危険なので女子どもは近づいてはいけないとされ、また、奉納は裸参加が慣例ということもあって、女性は参加できなかったのです」