2026年W杯の吉兆なのか…?
では優勝を逃した今大会は2026年のカナダ・アメリカ・メキシコの共同開催W杯を迎える森保ジャパンにとっていい兆候じゃないか。
……そんな話ではない。ジンクスでもない。この”史実“から抽出すべきポイントはこの点だ。
「ピークを維持することを考え始めたら、そこで終わり」
今の森保ジャパンの場合、「カタールW杯のときはよかったのに、なぜ?」と考えが巡る。本大会の森保ジャパンでは、FW上田綺世、DF毎熊克哉の台頭があり、長年守備の中軸を担った吉田麻也が抜けた守備ラインの多様な組み合わせといった収穫があった。これは大きいと思う。
いっぽうで「カタールW杯ではよかったのに」と感じさせるシーンもあった。大会を通じて最も安定した戦いを見せたのが、決勝トーナメント1回戦のバーレーン戦後半だったが、それは負傷中だった三笘薫が大会初出場を果たしたからだ。
三笘が左サイドでボールをキープし、ドリブルを仕掛ける際に一気に攻撃陣が動き始めた。カタールW杯の時のかたちだ。さらに右サイドの伊東純也が週刊誌報道の影響もありこの試合以降欠場。カタールW杯で対戦国の脅威となった両サイドが揃い踏みをすることはなかった。
だからダメだった、ではダメなのだ。
どんどん替わりの選手が出てきて、チームが変化していく必要がある。
日本の過去の失敗はまさにこの点にある。W杯でグループリーグ敗退したときの日本代表は2年前の最高戦力をそのまま維持しようとしてしまった。
外国人監督の話になるが、2002年に就任したジーコ監督の時代は、よりそれが顕著だったように思う。ブラジルの監督には「最高の選手に最高のテンションを注入することが自分の仕事」という考えが伝統的にあり、中田英寿、中村俊輔などレギュラークラスの序列を早々と決め、彼らを重用したが、2006年ドイツW杯では一勝もできずにグループリーグで敗退した。
「ノーリスク信奉」、これは日本社会の弱点でもある。
新型コロナのパンデミックの際にも指摘されたものだ。とにかく事が起きないことを願う。W杯までの4年間、チームがずっといい成績を残して、安定した状態で本大会でもよい結果が出ることを願う。
筆者が多く取材する韓国のサッカー関係者は「日本サッカーの強みは計画に沿った強化」とよくいうが、計画した通りのことがそのまま進むことだけが正解のような考えに陥りがちだ。