前橋の勝敗は現職の自滅

まず前橋市長選を制した小川氏の勝因について、「立憲の支持団体・日本労働組合総連合会(連合)が表立ってプッシュしたことが大きかったです」と、ちだい氏は分析する。

「野党共闘として共産と手を組むことはありますが、前橋市長選で共産党は“候補者を出さない”というかたちで間接的に協力しました。共産党支持者の中にはプラカードを掲げて応援する市民団体も少なくないのですが、そういった選挙活動にネガティブなイメージを持っている人は多い。団体との連携を限定的にして距離をおいた結果、現職の山本氏は『共産党ガー』『立憲共産党ガー』と批判できず、そのおかげで当選につながりました」

ただ、大きな勝因としては山本氏の自爆が大きいのかもしれない。

「山本氏は公約として『1世帯3万円のインフレ対策給付金』『市長給与50%カット』などを掲げましたが、3万円給付金の対象は高齢者・子育て世帯のみ。もらえない人が多いため不満が噴出しました。

自身の給与カットもあまりインパクトはありませんでした。さらには、山本氏はワンマンな言動が目立っていたのですが、選挙演説では市民に『風邪ひかないでね〜』と声をかけるなど“いい人戦略”を講じました。だけど、イメージとは違うことを急に言い出す人ってなんか嫌じゃないですか。山本氏の立ちまわりは全体的に空回りしており、無党派層が小川氏に流れたことは間違いありません」

続けて、「前橋市長選の結果からは“自民の支持が揺れ動いている”と決めつけることは難しいです。そもそも、八王子市長選や京都市長選など大きい都市での市長選は負けていません。同じく保守王国の茨城県でも、今年行われた取手市議選や守谷市議選で、自民の公認候補は堅調でした」と話した。