結局、誰の責任で負けたのか?

イラン戦の敗退直後からSNSでは、「日本代表の敗因」についてさまざまな投稿が飛び交っている。

指揮官である森保監督に向けての「#森保解任」というハッシュタグをはじめ、日本サッカー協会の田島幸三会長への批判は、もはや代表が敗戦したときの風物詩となった。

今大会においては、大会通して本来のパフォーマンスを見せられず、イラン戦では決定的なミスをしたDF板倉。今大会でスタメンに抜擢された若手GKの鈴木彩艶。大会期間中にプライベートな問題で離脱した伊東純也。はたまた、その引き金となった事件を報じた週刊誌にまで批判の矛先が向くこともあった。

しかし、こうしたSNSでの戦犯探しをサッカーライターの清水英斗氏は「意味がない」と一刀両断する。

「この10年くらい日本代表が負けたときに起きるネット上での短絡的な罵詈雑言にはウンザリしています。言葉の選び方にリスペクトがなく、相手が人であることを想像していない。批判は構わないと思うけど、自分がスッとしたいだけの戦犯探しに意味はありません。仮に本当に特定の戦犯がいるなら、代表に呼ばれなくなるだけなので、そんな甘い世界ではない」

清水氏は敗戦を特定のだれかの責任にするほど簡単な問題ではないという。では、早々に敗退した今大会の日本代表で収穫はなかったのか。

「収穫といえるほど、まだ試合数を重ねてないですが、ゴールキーパーの鈴木彩艶はこれからの代表にとって楽しみな存在です。グループステージでは経験不足から不安定なパフォーマンスもありましたが、決勝トーナメントのイラン戦はそれより安定していました。ただ、彼のトライは途中で終わってしまったので、現状はダメとも良いとも言えない。

欲をいえば、準々決勝に勝ってあと2試合見たかった。彼のゴールキックの飛距離、競り合いの強さなどは間違いなく、日本史上最高の素材。W杯優勝チームのGKになり得る素材です。日本の目標から逆算すれば、ここでリスクを負って抜擢したのはむしろ当然だと思います」

写真:森田直樹/アフロスポーツ
写真:森田直樹/アフロスポーツ

今年、パリ五輪をひかえる日本代表の若き守護神を数少ない収穫とした。

「一昨年のカタールW杯や昨年の成績で森保監督の評価が急激に高まりましたが、もともと長所や短所は変わっていなかったですし、今大会でその評価も本来あるべきところに落ち着いたと思います。昨今は欧州の代表チームがそうであるように、日本も継続して一人の監督に任せている最中です。

1試合や1大会で解任、解任と叫んでいたら代表は強くならない。これから戦うW杯アジア最終予選でよっぽどのことがないかぎり、解任するべきではないと思いますが、ここからどう修正していくのかはしっかり見ていきたいと思います」

2026年のW杯まであと2年。日本代表の次戦は3月21日、W杯アジア2次予選で北朝鮮代表と対戦する。“アジアレベルでは頭ひとつ抜け出た実力”という夢から醒めた日本代表は一歩一歩地に足をつけて進むしかない。森保監督の手腕が試される。

文/集英社オンライン編集部