行動把握のためのSuica配布は「ピントがズレている」

日常を取り戻しつつある七尾市では逆に空き巣被害や、被災家屋を法外な料金で補修する営業などが増えているようだ。避難所に暮らしているという50代の男性が表情を曇らせた。

「不審者をよく見かけますよ。服装もスーツとかではなく普通の格好で、『困ったことはないですか』と聞き回っているようですが、どうにもうさんくさくて。
それと最近増えているのは、家屋の屋根の補修にブルーシートを貼るという“営業”ですね。お願いをすると請求額が15万円にもなったり、ひどいケースだと家に勝手にブルーシートを置いていって後で15万円請求してきた業者もいたみたいで、警察も注意を促しています。

七尾市田鶴浜体育館にも防犯カメラが設置された
七尾市田鶴浜体育館にも防犯カメラが設置された

相変わらず空き巣の被害も多いようで、防犯カメラ約1000台を避難所や街頭に設置するという報道は見ました。そんなことはしないで、復興のために他のことに金を使えみたいなことを言う人もいるようですが、私は避難所に防犯カメラがあって犯罪の抑止につながるならいいと思います。
本当に不審な男の2人組とか入ってきたりするんですよ。今のところ何か盗まれたり、何かされたというのはまだ聞きませんが、やはり怖いですからね」

また、河野太郎デジタル大臣がSuicaを使って被災者の所在や行動把握を行うと表明したが、これについては七尾市の避難所でも呆れる声が多かった。

七尾市の避難所。一部が居酒屋スペースとなっており、被災者の憩いの場として利用されていた
七尾市の避難所。一部が居酒屋スペースとなっており、被災者の憩いの場として利用されていた

「正直、それどころではないですね。ちょっと前にようやく洗濯機が届いてようやく洗濯ができるようになった状態ですよ。被災者の中には財布だって持っていない人もいるのに、いったい何を言っているんですかね」(40代男性)

「なんかマイナンバーカードを読み取る機械を設置しようとしてたんですよね。率直にいえば今そんなこと必要かしらねってのが感想でしたね。Suicaの配布もそうですけど、みんなこうして家でお風呂にさえ入れない状況なのに、あまりにピントがズレているとしか思えませんね。
そんなことより仮設住宅を一棟でも建てるべきだと思います。今家がない人は住むところを一番心配しているわけですから」(40代女性)