「人が死んでいるんだから会うつもりはありません」
野本さんの死体遺棄事件に関しては、先に逮捕されたのは渥美容疑者の高校時代の同級生で仕事仲間でもあった堀俊哉被告(31)=死体遺棄罪で起訴=だ。堀被告は自分の車で千葉県八千代市内の自宅を出発して江戸川区内で渥美容疑者と合流、野本さんの遺体をのせて山梨県に向かったとみられている。事件発覚から約1ヵ月後の昨年暮れ、堀被告の母親は毅然と「私から息子に会うつもりはありません」と突き放した。母親は当時、記者にこう証言した。
「私のほうには警察からも弁護士からも、本人からの手紙なども何の連絡もきていません。私のほうからは会いに行くつもりはありません。なぜって……。人が亡くなっているんですよ。人が亡くなるような事件に関わってしまって……」
母親の決意は固く、こう続けた。
「裁判が終わるなど、事件のことがはっきりして、そのうえで息子から『会いたい』と意思表示があれば、そのときは会おうかと思っています。これまで、息子に対して私はやることはすべてやってきました。教えるべきことは教えてきました」
堀被告は渥美容疑者と都内の公立高校で同級生だった。
「今思えばですが、あの子(渥美容疑者)と付き合いだすようになって、問題が多発していたように思います。私自身は息子と高校が一緒だというのは知りませんでしたが、ある時期から何度か尻拭いをしてきましたから、おそらくそのころから付き合い出したんだろうなって……。もうずいぶん前なので詳しくは覚えてないんですけど、7、8年前にあの子が息子の名義で車を買ったことがあるんです。息子は自分の車は持っていたし、どう考えても必要のない車でした」
その車はやがて駐車場に放置したままになり、いつの間にか支払いの請求も母親のもとに届くようになったという。
「友達が乗るための車として買ったとか、友達に言われるがまま買ったとかそんなことだと思います。他にもいろいろあったんですが、昔の話なので。何があったのかはっきりしたことを知りたいという思いはありますが、どっちにしても大変なことしちゃってるんで。(死体遺棄を)手伝わされて運が悪いと思う部分ところもありますが、要は自分の弱さですから。私からは会うつもりはありません。人が死んでしまっているんですから」