トランプから「人を見る目がない老いぼれ」と罵倒されかねない

どういうことかというと、昨年末に自民党派閥の政治資金問題が噴出し、「岸田政権はもたないのでは」との観測が米政府側でも議論されるようになったのだ。岸田首相を国賓として呼んで議会演説をさせたとしても、その後すぐに退陣となれば、大統領選を控えるバイデンにとってはとんだ赤っ恥となり、トランプから「人を見る目がない老いぼれ」と罵倒されかねない事態となる。つまりバイデンは岸田首相を見限りはじめた、というのだ。

トランプ氏(本人facebookより)
トランプ氏(本人facebookより)

こうしたアメリカの動きに岸田首相は焦ったのだろう。そこで、1月に政治刷新本部を発足させ応急処置を試みたものの、逆風は収まらない。それどころか岸田派まで捜査の手が及ぶことがわかり、さらに追い込まれることになった。

同時にアメリカから訪米の延期が正式に通告されたのである。パー券疑惑批判が続く限り政権はもたない、政権が死に体のままではバイデンに見放される、という二重苦のなかで、急転直下、窮余の策として出たのが「岸田派解散」という一手だったのだ。

「これまで派閥均衡政治を続けてきた岸田首相が、なりふり構わず一人で決めたのが岸田派解散だったのです。これを受けて安倍派、二会派も続けて解散を発表した。この派閥解散という一手は、各派閥が謀議を重ねて”岸田降ろし”を画策する動きをしばらく封じることが出来るという効用もある。

どんな手を使ってでも政権を維持し、バイデンに岸田政権はこれからも続くということを見せたい。さもなくば国賓待遇での訪米は実現しない…開き直りの独断専行にはこうした背景があるのではないかと見られています」(前出・政治部記者)