“岸田首相電撃訪朝”のプラン

一方で、岸田政権が北朝鮮に近づこうとする思惑は支持率の回復にある。

現在、過去最低レベルの支持率に苦しむ岸田政権に対して、昨年ごろから「岸田氏は、小泉訪朝の再来をねらっている」(政治部記者)という声が永田町では囁かれ続けてきた。

2002年、小泉首相は電撃訪朝を行い金正日総書記と首脳会談を行った。この会談により、5人の拉致被害者の帰国が実現。このときの小泉訪朝のインパクトは絶大で、拉致被害者の帰国も含め世論の話題を独占したことを覚えている人もいるだろう。

「岸田首相、もしくは外務省はこの再来を狙い、“岸田首相電撃訪朝”のプランを練っていると言われています。メインテーマは拉致被害者の帰国です。岸田首相が電撃訪朝後に拉致被害者とともに日本帰国する、という形を模索しているとも言われています」(前出・政治部記者)

岸田首相とバイデン大統領(首相官邸facebookより)
岸田首相とバイデン大統領(首相官邸facebookより)

こうした見方が広がったのは、政権発足当初は拉致問題に関心が薄いように見えた岸田首相が、昨年から拉致問題に積極的に取り組むようになったからだった。

昨年の5月27日に、岸田首相は「私自身、条件をつけずにいつでも金正恩委員長と直接、向き合う決意であると申し上げているゆえんでありますし、全力で行動してまいります」と宣言。その2日後には、北朝鮮の朴尚吉外務次官が「日本が新たな決断を下し、関係改善の活路を模索しようとするなら、朝日両国が会えない理由はない」と、好意的な反応をしたことで、日朝間の水面下で何かが進んでいるという観測が広がっていった。

同年、7月には岸田首相が拉致被害者の曽我ひとみさんと面会を行った。曽我さんと総理大臣との面会は2018年の安倍政権のとき以来、5年ぶりの出来事であり、改めて岸田首相は拉致問題取り組みへの姿勢をアピールしたのだ。