見どころとしてのヴィジュアル・スタイル!
ネタバレになるのでこれ以上詳しくは触れられないが、不在だったはずの父親は、実はラスト30分くらいからの思いもよらなかった展開の中でおぞましい姿としてヴィジュアル的に表現されている。このラストの30分にはビックリさせられること請け合い!
予測できない展開や、母親の存在を巡るテーマ性といった部分に加え、本作の最大の魅力のひとつとなっているのはそのヴィジュアル・スタイルだ。
特に、森の中での演劇から、ボーがそれを自分自身の物語として夢想し始めるくだりでは、アニメーションと実写を融合させた独特のスタイルが展開されていく。
この一連のシークエンスは、アリ・アスター監督が特にクリストバル・レオン&ホアキン・コシーニャという南米チリの監督コンビに依頼しているのですが、その二人というのは悪夢のようなストップ・モーション・アニメーション作品として話題となった『オオカミの家』(2018)を手掛けたコンビ。
われわれが見ている映像は実はボーの妄想にすぎないのかもしれず、ストーリーを理解しようとしてもつじつまが合わない部分もある。むしろ、人の悪夢を覗き見るようなつもりで、その圧倒的なヴィジュアル表現を堪能するというのが本作の正しい楽しみ方なのかもしれない。
文/谷川建司
『ボーはおそれている』 上映時間:179分/アメリカ
2024年2月16日(金)全国公開
監督・脚本:アリ・アスター
出演:ホアキン・フェニックス、ネイサン・レイン、エイミー・ライアン、パーカー・ポージー、パティ・ルポーン
配給:ハピネットファントム・スタジオ 原題:BEAU IS AFRAID
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配給:ハピネットファントム・スタジオ