予備知識のないフィンランド映画の面白さに驚愕

フィンランドという国に、筆者は特に何か具体的なイメージを持っていない。経済協力開発機構(OECD)の評価だと「世界で最も競争力が高く、かつ市民が生活に満足している国のひとつ」だそうで、昨年、ロシアによるウクライナ侵攻を受けてNATOへの加盟に踏みきったのを知っているくらいだ。

映画産業というのも、隣国スウェーデンが巨匠イングマール・ベイルマンや、大女優グレタ・ガルボ、イングリッド・バーグマンを生み出しているのと比べると、ほとんど知られていない。だが、そのフィンランドで「5か月連続トップ10入りの大ヒット作」だという触れ込みで公開される『SUSU /シス 不死身の男』を見たら、その面白さにきっと誰もが驚愕し、アドレナリン全開になること請け合いだ。

ツルハシ一本で戦う『SISUシス/不死身の男』の衝撃

シュワ&スタローンも真っ青? 世界一幸せな国フィンランドで不死身のヒーロー映画が爆誕!笑っちゃうほどの不死身ぶりを解説_1
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タイトルのSISUとはフィンランド語で「不屈の闘志」とでもいうべき意味の言葉で、主人公のアアタミという老兵はまさにSISUを体現する不死身の男。舞台は第二次大戦末期で、ナチス・ドイツに侵攻されて国土が焦土と化した母国で、相棒の愛犬ウッコと共に、たったひとりでナチスの戦車隊と戦う。持っている武器はなんと、ツルハシ一本のみ! 

だが、老兵と侮ってはいけない。アアタミは殺された家族の復讐のため対ソ戦に参加。ひとりで300名のソビエト兵を倒し、制御不能のスーパーソルジャーとして自由に行動する、例えて言えば“ワンマン・ワグネル”のような存在なのだ。

どのくらい不死身なのかは、映画を見て自分の目で確かめてもらうしかないのだが、過去多くの映画で描かれてきた不死身のヒーローたちの系譜に連ねても遜色ない。それどころかお釣がくるくらいの、あまりに不死身すぎて笑っちゃうくらいのヒーローなのだ。そのすごさを、過去の不死身のヒーローたちのポイントと比べてみよう。