収支報告書チェックはかなり時間がかかる…
──「違法の疑いのある政治資金」は簡単に見つかりますか?
違法の疑いのある政治資金はたびたび目にするのですが、スルーしちゃうことがほとんどです。やっぱり収支報告書のチェックって、かなり時間がかかっちゃうんものなんですよね。
僕も大学教授の仕事も抱えていますので、そこまで時間を大きく割けるわけじゃないんですよ。だから明らかに違法なものを見つけるのがメインとなっています。
──違法かどうかはわかりづらい場合も多いと……
違法だと言いたいんだけど、なかなかそれが言いづらい。調べたら場合によっては違法になり得るようなケースが多いです。
例えば、元東京都知事の舛添要一さん。本来だったらポケットマネーで行かなければいけない家族旅行に政治資金を使っていた。でも収支報告書を見ると政治活動のような形(会議費)で書いてあったんですよ。
で、これをもってすぐ違法とは断定できない。ところがこの疑惑を記者さんが取材されて、のちに家族で行っていたことが判明します。それだったら政治団体が支出する義務がないので、虚偽じゃないかと…支払い義務がないですからね。
このように収支報告書を見て、即違法だと断定できない場合、のちの取材を通してグレーが黒になったりします。やっぱり時間がかかるってことですね。
──舛添要一さん、セコいですね(笑)。ほかにも判断が難しいケースはありますか?
東京都知事の小池百合子の花代があります。約208万円の支出(2009年から6年間)。なんで花代があんなにかかるんでしょうか? 収支報告書には「花を買いました」という支払いなので、生花店の名前しか書いてないわけですよ。誰にあげましたというのは書かれてない。
選挙区内の人へのお祝いとかお葬式とか、そういうのを政治団体から出している可能性があるんです。選挙区内の者に渡すとなると、これは寄付に該当し、収支報告書に詳細を書かなければならない。
でも書いてない。ひょっとすると公職選挙法違反の可能性があるにも関わらず、断定ができないんですよね。詳細がわからないから。
本人が結婚式やお葬式にご祝儀や香典を持っていくケースはセーフだけど、秘書さんが持っていったらアウトなんですよ。つまり、このケース、その政治団体の支出ってなると「本人が持って行った」とは限らないと思いますね…。