「鳩に餌やるな!」って怒鳴ったおっちゃんの肩に鳩が止まって(笑)
SHINGOは自分が生まれ育ち、今も暮らす西成の街づくりにも率先して動く。西成の街をカラフルに彩るグラフィティプロジェクト「西成WAN(ウォールアートニッポン)」もそのひとつだ。
「これは俺が総合プロデューサーを務めさせてもらったもので、スペインやサンディエゴなど世界中のアーティストさんや阪南大学さん、南海電鉄さんなどにも協力してもらった、西成発のグラフィティアートプロジェクトです。ここではおもろいおっちゃんに遭遇するのと同じ確率でアートな風景に遭遇するんです。セピア色の街を彩ろうという想いの元です。でもそれも、2007年に亡くなった仲間のTERRYから“アートはスゲエ”と教えてもらったから」
そしてここが西成署から100メートルほど南に位置する萩ノ茶屋南公園、通称「三角公園」だ。釜ヶ崎地区の住民の拠点とも呼ばれる場所で、SHINGOはここで何年も炊き出し活動を行ってきた。
「ここでは俺が毎年夏にやってる“米カンパライブ”も何度かしてきました。いろんな所でライブしてきたけど、ここでライブするときが一番緊張するし興奮する。今朝もね、自分のガキを小学校に送り出すときは曇りなこともあってか、おっちゃんらがみんな不機嫌で“鳩に餌やるな!”って怒鳴って、その怒鳴ったおっちゃんの肩に鳩が止まって“おお、止まるんか、この鳩は”ってショートコントみたいな騒ぎを見て、今こうして数時間後に戻ってきたら…天気もよくなったからか、なんかおっちゃんらの顔が柔らかいっすね。こんなおもろい公園、他にないやろ」
そして、かの有名な「旧あいりん総合センター」。約半世紀にわたり労働者を支えてきたこの街のシンボル的な複合施設で、主に労働福祉に関するさまざまな課題に対応してきた。そのセンターの建て替え計画が出て約4年。路上生活者が「建て替え後の具体像が示されていない」と反発し建物前の占拠を続けている。