「近所のおっちゃんに習った、ここではこうして生きなさい」
まずは「スーパー玉出」。関西の台所として有名なこのスーパーは、野菜に肉に魚にお惣菜から何から何までなぜか安い。「MCハマー。スーパー玉〜、や。朝まで〜スーパー玉出〜しょーもないコト気にせんでかまへんかまへん〜玉出〜にカマゲン! 24時間営業」
お次はSHINGOが中高時代から通うゲーセン「ポパイ」。
「タッチパネルや画面表示じゃなく、ベット枚数が電卓のようなデジタル表示だし、馬はCGじゃなく模型の馬が走る古めかしい台でしょ。これ俺が中高生くらいのころからあって、周りはみんな40、50のおっちゃんがゲームとはいえ真剣に興じてて、なんつうか鉄火場みたいな危うさで。ぎょうさんお客さんいたのでオレはおっちゃんがスッといなくなったときに、ようやく中で動く馬を眺める、そんな感じやった」
西成にはSHINGO★西成の楽曲のジャケットで見る風景が溢れている。ここはシングル『To Be With You』で見られる西成らしい街角だ。
「あの曲は『大切を大切にする気持ちを大切に』シンプルなこと言ってる歌でしょ。ちょうどコロナ禍で出した歌でした。俺は歌詞を書くときはいつもなんかの紙の切れ端に書いてまとめて。それをクリアファイルみたいなのに入れて溜めて、言葉を繋いでいくんです。このメモ書きでメモする癖は、今年で92歳になったオカンとのメモ書きのやり取りの習慣からなんですよね」
今年8月に朝日新聞で受けたインタビューでは、このオカンとのメモ書きのやり取りのことをこう答えていた。
〈週2回ほど、便箋(びんせん)やチラシの裏に書かれたオカンの手紙がこたつ机の上に置かれるようになったのは、小学校に入った後からだろうか。《ナシが冷やしてあります。食べて下さい》。そんな書き置きもあれば、《よき友であればお互いに話合ふべきです。がまんする時はがまんし、話合ふ時はとことんまで。お互いにわかるまでね》といったアドバイスも〉