老化物質AGEの蓄積を阻止

「老けない肉ベスト10」を見てほしい。

人生も後半になったらなにより高たんぱくのお肉を。老化物質の蓄積を阻止してくれる最強の”若返り肉”とは_2
『八訂食品成分表2023』(女子栄養大学出版部)をもとに独自に作成

ランキング1位である「鶏肉」は、高タンパクで低脂質、ビタミンがたっぷりという若返り食べものの代表格。鶏肉に含まれるカルノシンという物質が酸化と糖化を強力に抑えることがわかっている。牧田善二医師(AGE牧田クリニック院長)も、「鶏肉は老化物質であるAGEの蓄積を阻止してくれる」と太鼓判を押す。

「渡り鳥が長い距離をノンストップで飛べるのは、運動によって大量に発生する活性酸素を消去してくれるカルノシンを持っているためと考えられます。パワーが持続するということは、すなわち老けないこととイコールです。人の体にも骨格筋や脳、神経組織に多く含まれていますが、年齢とともに減少してしまうので外から補給することをお勧めします。また、カルノシンには抗糖化作用があることも最近わかりました」

鶏肉に含まれるビタミンB6も、体内でタンパク質と糖質が合成するのをブロックしたり、AGEが発生するプロセスを初期の段階で抑えてくれるという。

体を動かした後も鶏肉がいい。管理栄養士の早川麻理子氏(名古屋経済大学准教授)の話。
「ウォーキングなどの運動をしてから1時間以内に、市販の『サラダチキン』(蒸し鶏を密封パックしたもの)を摂ると、筋肉合成につながります」

人生も後半になったらなにより高たんぱくのお肉を。老化物質の蓄積を阻止してくれる最強の”若返り肉”とは_3

鶏肉の中でも4位の「皮つき」はどうだろうか。管理栄養士で調理師の堀知佐子氏(老舗料亭「菊乃井」常務取締役)によると、「皮なしのほうが圧倒的にカロリーが低いですが、皮には若返りに必須のコラーゲンがたっぷり含まれている」という。コラーゲンは動物の皮膚に多く含まれるが、豚や牛の場合は毛を落とせないため食べられない。

「コラーゲンが不足すると肌にたるみができたり、かさつく原因になりますから、老けないためには鶏肉の皮を邪険にしないほうがいいと思います。冷たいフライパンの上に皮目を下にして鶏肉をのせ、強火でなく弱火でじっくりパリパリになるまで焼くと鶏肉の余計な脂が取れ、コラーゲンは肉の中に残ります」(堀氏)

前出の板倉弘重医師は、ランキング2位、5位、10位につける「ヒレ肉」を勧める。

「筋肉を強化する『ロイシン』、神経伝達物質セロトニンの原料である『トリプトファン』など、体内で作られないさまざまな必須アミノ酸が肉のタンパク質には含まれます。とりわけヒレ肉はロイシンやトリプトファンが豊富で、筋肉量の低下を予防し、心を前向きにするセロトニンを生みだして老化予防に影響を与えるとされています。脂身が多い肉ほどロイシンやトリプトファンの比率が少なくなってしまいます」