暮らしてから気づくことって案外多い

ふたりに二拠点目を決める際のアドバイスを聞いてみた。

「私たちはこのマンションと出会い、気に入って、購入を決めましたが、もし次にまた引っ越しをするとしたら、買う前にまず候補地で賃貸するかもしれません。というのは、暮らし始めてから気づくことって案外多いから。

家賃はもったいないかもしれませんが、賃貸マンションに住みながらリサーチするのがいいのかな、と。

例えば熱海はとにかく坂が多い。分かっていたつもりでしたが、いざ住んでみると想像以上に急こう配の坂だらけで、坂を歩かずには散歩も買い物も行けない(笑)」(カナミ)

ユウイチは、「外食費が意外と高い」。

「東京に比べると静岡の方が物価が安いのではと思っていましたが、そうでもなかったです。特に飲食店は観光客向けの価格のため、日常的に外食をすると出費がかさむ。
東京の新橋ならランチが1000円以下で選べますが、熱海はそうはいかないのが、ちょっと想定外でした」(ユウイチ)

ここで親兄弟や友人たちを呼んで泊まってもらい、皆で花火を見るのも楽しいと言う。

熱海のマンションには和室もあり、親兄弟や友人が泊まることも
熱海のマンションには和室もあり、親兄弟や友人が泊まることも
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昨年の年越しはカナミの両親も泊まりに来て、一緒にお正月を迎えられたのがうれしいと話してくれた。コロナ禍以降、高齢者住宅は家族が入館できなくなり、なかなか会えなかったからだ。

夫婦で、そして親族や友人とも集まってリラックスできるリゾート拠点。定年のころには持ちたいね、という目標を前倒しして実践できたのは、好機を逃さない二人の決断力とスピード感の賜物だった。

取材・文/中島早苗