「日本的でありつつエキゾチック」
どこにもない独自のメロディーを構築

1983年には、大島渚監督の映画『戦場のメリークリスマス』に俳優として出演、同時にサウンドトラックも担当し、メインテーマ『Merry Christmas, Mr. Lawrence』は、坂本の最も有名な曲となった。

この『戦メリ』で映画音楽を手掛けたことが、その後の坂本の活動に大きな影響を与える。

1987年にはベルナルド・ベルトルッチ監督に請われ、『ラストエンペラー』の映画音楽を担当。この作品で、日本人初のアカデミー作曲賞を受賞する栄誉を受け、「世界のサカモト」と呼ばれるようになる。

『Ryuichi Sakamoto - Merry Christmas, Mr. Lawrence』。Decca Recordsより

『戦メリ』やベルトルッチ作品では、坂本のオリエンタルな曲想が活かされ、日本的でありつつエキゾチックという、どこにもない独自のメロディーを構築されていた。

それまでソロ作品ではアカデミックな作風の多かった坂本が、洋画邦画を問わず、多くの映画音楽を手がけるようになったことで、その前衛性に大衆性が良質の形でブレンドされたのだ。