「陰謀論」との向き合い方

──昨今、日本ではオカルト・心霊ブームが再燃していると言われています。実感はありますか?

たとえば最近では陰謀論が大きく報道されたり、その流れで否定されたりしていますが、否定されているってことは、それだけ広まっているということですよね。そういった「表の情報」以外のものに目を向ける人は、たしかに増えているんじゃないかと思います。あと、単純にオカルトや心霊系のイベントも増えていますしね。

──陰謀論はかなり慎重に取り扱う必要があると思うのですが、角さんが考える陰謀論との正しい向き合い方を教えてください。

まず世間にお願いしたいのが、「陰謀論者」というレッテル貼りをやめてほしいなと。陰謀論にもグラデーションがあって、まったく荒唐無稽なものもあれば、すごく真実に近くてあと数年で明らかになるかもしれないものもある。それらをひとまとめにして「陰謀論者の話は聞く価値がない」とされている今の風潮には、少し違和感を感じています。

それに、世間が言う「陰謀論者」って相当偏っていますよね。過激な思想を持つ陰謀論者を否定しながら、そういった裏の情報を真剣に世に伝えようとしているジャーナリストにも同じレッテルを貼って、あたかも「頭のおかしい人」と否定している。その流れには、異議を唱えたいです。

私はサイゾー在籍時によく“覆面座談会”的なことをしていたんですが、要するに顔を隠さなければ話せない情報というのはかなり多いんですよ。今は署名記事でないと信頼性が低く、SEO対策としても記事の作成元を明記するのが一般的ですが、そうすると、裏の情報というのは表に出てきにくくなってしまいます。

その結果「大手のメディアが認めた情報でない=嘘」という固定概念がついてしまった。何が真実で何が嘘なのか、より見えづらくなっているのかなと思います。

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──真実性がすごく重要視される世の中では、フェイクを乗りこなすというのも、情報の受け手側に必要なリテラシーですよね。

今は陰謀論と関わってしまう側面があるから、「リアルか、フェイクか」という点に世間がすごくシビアになっていますよね。でも、そもそも世の中って結構デタラメだと思いますし、「人の数だけ世界がある」という思想もあるので、そんなに真実に固執しなくてもいいのでは?と私は思っています。それがわかっていれば、リアルでもフェイクでも、何でも楽しめるのではないでしょうか。

それに現代は「デジタル中世」だと言われていて、AI(人工知能)を活用してアバターに発言させたり、写真を現実とは異なるように加工したりと、無意識に魔術師のようなことをやっているんですよ。それなのにオカルトやフェイクを否定するのは、すごく矛盾した態度だと思います。

──では最後に、角さんがオカルト・心霊現象を調査し続ける理由を教えてください。

私は幽霊が視えるタイプの人間ではないので、たまにそういった体験に遭遇すると、すごく嬉しいんですよ。「こんな世界があったんだ!」みたいな(笑)。それが日々のモチベーションになっています。私は「UFOに乗ること」を人生の最終目標として掲げているので、そこに向かって、これからも探求し続けていきたいですね。

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取材・文/毛内達大 撮影/山田秀隆